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交雑個体を見分ける遺伝的手法を再評価! 日本固有種<オオサンショウウオ>の保全に貢献

近年、国の特別天然記念物であるオオサンショウウオについて、外来種との交雑が大きな問題となっています。

しかし、オオサンショウウオは外見から交雑個体を識別することが困難な場合も少なくありません。そのため、遺伝的な手法が重要とされており、これまで識別にはマイクロサテライトマーカー(SSR)と呼ばれる手法が用いられてきました。

一方、近年この手法は交雑の程度を過小評価している可能性が指摘されているようです。

そうした中で、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション和歌山研究林の福山伊吹特任助教らの研究グループは、SSRによる遺伝子鑑定の程度を再評価しました。

この研究成果は「Limnology」に掲載されています(論文タイトル:Reevaluation of the genetic identification accuracy using SSR markers of giant salamander hybrids by SNP analysis.)。

世界最大級の両生類<オオサンショウウオ>

オオサンショウウオ Andrias japonicus世界最大級の両生類です。

オオサンショウウオ(提供:PhotoAC)

本種は日本固有種であり、環境省レッドリストで絶滅危惧 II 類(VU)に指定されています。

また、1952年に国の特別天然記念物に指定され、許可を得ず採捕、移動、飼育することが禁止されています。

外来種との交雑が深刻

そんなオオサンショウウオですが、現在、深刻な問題に直面しているのをご存知でしょうか。

オオサンショウウオを取り巻く問題の1つとして挙げられるのが、1970年代頃に持ち込まれたとされるチュウゴクオオサンショウウオ Andrias davidianus との交雑です。

賀茂川(提供:PhotoAC)

交雑は各地で進んでおり、京都府を中心に愛知県から広島県の広い範囲で交雑個体が確認されています。

特に京都府の賀茂川では交雑が進行しており、在来種はほぼ絶滅状態であることが先行研究で報告されました(高倉耕一 他(2025)賀茂川におけるオオサンショウウオ類の個体群サイズ推定.保全生態学研究.30(2): p.139–148.)。

交雑個体を見分けるにはどうする?

生物多様性を保全する上で、外来種や交雑個体を迅速に検出することは、在来種を守るうえで不可欠です。

一方、オオサンショウウオにおける交雑では、交雑個体の識別が難しい場合が少なくない、という問題があります。

そのため、遺伝的な手法が重要であり、これまでマイクロサテライトマーカー(SSR)と呼ばれる手法が広く用いられてきました。しかし、近年はSSRでは交雑の程度を過小評価していることが指摘されています。

今回の研究では、遺伝的差異や交雑の程度を高精度に解析できるSNPを基準として、SSRの遺伝子鑑定精度の再評価が行われました。

従来の手法では誤判定も

研究グループは、文化庁の許可を得て京都府の河川から採集されたオオサンショウウオ属130個体を、SNPを効率的に検出できる遺伝子解析手法(MIG-seq法)により得られたデータを用いて、5つに分類されました。

このSNPによる判定結果を基準としてSSRの精度を再評価した結果、SSRによる遺伝子鑑定精度は、使用する遺伝座数に依存し向上する一方、最大14座位を用いた場合でも、交雑個体や外来種を正確に分類できた割合は約64~77パーセントにとどまっています。

特に7座位以下では精度が著しく低下し、多くの交雑個体が誤った遺伝子型に判定。SSRは在来種とそれ以外を識別する能力は高いものの、用いた遺伝子座数が少ない場合、交雑個体を在来種と誤判定してしまうことが示されたのです。

より精度の高い遺伝子鑑定が求められる

今回の研究によって、従来、オオサンショウウオの交雑個体の遺伝子鑑定で広く用いられてきたSSRでは、限界があることが明らかになりました。この成果は、

SSRによる簡易スクリーニングとSNPを組み合わせた手法の必要性を示すものとなっています。

また、今後、外来種と交雑個体の拡散を防ぐためには、精度の高いモニタリングを急速に構築することが求められています。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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