沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)は、アカマンボウの人工授精と人工ふ化に成功したと発表しました。これは世界で初めてだといいます。
同館によると、成熟個体から採取した卵と精子を用いた人工授精により受精卵を得て、ふ化まで成功。今回の成果は、謎の多い大型外洋魚の繁殖や発生過程の解明につながる重要な研究成果として期待されています。
全身を温められる珍しい魚としても知られるアカマンボウ
アカマンボウ(学名:Lampris megalopsis)は、リュウグウノツカイと同じアカマンボウ目に属する大型魚。銀色の円盤状の体と鮮やかな赤いひれを持ち、外洋の表層から水深約500メートルの中層に生息しています。
アカマンボウ(提供:PRTIMES)魚類では唯一、全身を周囲の海水より高い温度に保つ「全身性内温性」を備えていることでも知られ、外洋環境に適応した“特異な進化を遂げた魚”として研究が進められています。
人工授精と人工ふ化に成功、発生過程の基礎データを取得
アカマンボウは外洋に生息する大型魚で、生態や生活史には未解明な点が多く残されています。
本種について、沖縄美ら海水族館は県内市場で水揚げされた個体の生殖腺を長年調査するなど、繁殖生態の研究を進めてきました。
発生過程に関する基礎データの取得にも成功
今回の研究では、沖縄近海で漁獲された成熟個体から卵と精子を採取し、人工授精を実施。その結果、人工ふ化に成功するとともに、受精からふ化までの発生過程に関する基礎データの取得にも成功したとしています。
同館では、2026年7月時点の自館調査として、アカマンボウの人工授精と受精卵の人工ふ化はいずれも世界初の事例になると説明しています。
アカマンボウの受精卵(提供:PRTIMES)この成果は、アカマンボウだけでなく、研究例が限られている大型外洋魚の繁殖や初期発生を理解するうえでも貴重な知見になるとみられています。
ふ化した仔魚を館内で公開
沖縄美ら海水族館では、館内1階「深海探検の部屋」で1~5尾を展示しています。
人工ふ化した仔魚は全長約7ミリで、透明で細長い体と2本の長い腹鰭が特徴です。
なお、生物の状態によっては展示を終了する場合があります。
アカマンボウふ化5日目の仔魚(約7㎜)(提供:PRTIMES)今後は、仔魚の成長や体の変化を継続的に観察し、摂餌を始める時期などを調査することで、アカマンボウの初期生活史の解明を進めるとしています。
展示や研究成果について、詳しくは美ら海水族館の公式ホームページに掲載されています。
※2026年8月4日時点の情報です
(サカナト編集部)