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クマノミからアマミホシゾラフグまで! 水中写真家・大方洋二さんが語る<魚たちの不思議な暮らし>とは?

東京都新宿区にあるサカナに特化した本屋・SAKANA BOOKSで8月22日、水中写真家・大方洋二さんによるトークイベントが開催されました。

長年にわたって海に潜り、サンゴ礁に暮らす魚たちを見つめ続けてきた大方さん。「クマノミと魚たちの不思議なおもしろ生活」をテーマに、クマノミをはじめ、共生や擬態といったユニークな生態を持つ魚たち、さらには大方さんが発見に関わったアマミホシゾラフグなどを写真や動画とともに紹介しました。

大人から子どもまで幅広い年代が参加した当日の様子をレポートします。

ベテランダイバーが見た<水中で暮らす生き物たちの姿>

今回のイベントは、岩崎書店の写真絵本「うまれたよ!」シリーズ刊行15周年を記念した企画の第1弾として開催されました。

登壇した大方洋二さんは、ダイビング歴60年以上の水中写真家。長年にわたり国内外の海に潜り、水中で暮らす生き物たちの姿を写真に収めてきました。

大方洋二さん

大方さんの著書には『うまれたよ! クマノミ』や『クマノミとサンゴの海の魚たち』(ともに岩崎書店)などがあります。

『うまれたよ! クマノミ』では、日本で見られる6種類のクマノミの仲間のうちトウアカクマノミの産卵や卵の世話、誕生までを紹介。一方、『クマノミとサンゴの海の魚たち』では、クマノミだけでなく、サンゴ礁に暮らすさまざまな魚や生き物たちの関係に目を向けています。

イベント当日は岩崎書店の担当編集者も参加しました。

サンゴ礁で見られる<共生>や<擬態>

サンゴ礁の海をじっくり観察すると、そこではさまざまな生き物が互いに関わりながら暮らしています。

イベントでは、こうした「共生」をはじめ、「擬態」など魚たちが海の中で生き抜くために見せるさまざまな行動を、大方さんが撮影した写真や動画を使って紹介しました。

海底の“ミステリーサークル” つくっていたのは小さなフグ?

冒頭で紹介されたのが、アマミホシゾラフグにまつわるエピソードです。

大方さんが2011年5月に海底で目にしたのは、砂地に描かれた不思議で美しい幾何学模様。当時はまだ、何がこの模様をつくっているのか分かっていなかったといいます。

大方さんは小さなフグが砂を掘り、この模様をつくっていることを発見。こうしたフグの行動は世界に例がないと思い、魚類学者に確認をとったうえ、NHKの自然番組に取材を提案。そして翌年「ダーウィンが来た!」の取材を行い「世紀の発見!海底のミステリーサークル」として放送され、世界から反響がありました。

大方さんは、「もともとは別の生き物を撮影するために潜っていたところ、近くに“ミステリーサークル”を発見した。撮影しているとフグが現れ、砂を運ぶなどの行動を見せた」と当時の状況を振り返ります。

周辺には複数のサークルがあったため別の場所でも観察し、フグがサークルをつくっていることを突き止めました。その大きさは直径約2メートルにもなったといいます。

大方さんが撮影した映像も流され、参加者の皆さんが食い入るように見ているのが印象的でした。

ハゼが見張り、テッポウエビが巣づくり──海の中の<共生>

トークテーマのひとつとなったのが、生き物同士の<共生>です。

その代表例として登場したのが、ハゼとテッポウエビの仲間。テッポウエビが砂を運んで巣穴をつくる一方、ハゼは巣穴の近くで周囲を見張ります。

大方さんによると、視力があまり良くないとされるテッポウエビは、触角をハゼの体に触れさせながら行動。危険が迫った際にはハゼの動きを感じ取ることで、その存在を察知していると考えられています。

ほかにも、魚の体についた寄生虫などを食べるホンソメワケベラによる<クリーニング>も紹介されました。

クリーニングを受ける魚はその間じっとしており、口の中まで掃除してもらうことも。さらに魚によっては、クリーニングを受けると体色を変化させることもあるといいます。

一見するとまったく異なる生き物たちが、それぞれの能力を生かしながら一緒に暮らしている海の世界。水中写真を通してその関係を知ると、魚たちの行動を見る楽しみも広がりそうです。

なぜクマノミを撮り続ける? 大方さんが語った理由

イベント後半の質疑応答では、大方さんが長年クマノミを撮影してきた理由についても質問が寄せられました。

大方さんが特に追い続けてきた魚のひとつが、トウアカクマノミです。その理由は単に「好きな魚だから」というものではありませんでした。

大方さんによると、トウアカクマノミが暮らす場所は埋め立ての影響を受けやすく、かつて沖縄に多く生息していたものの、生息環境が減少してきたといいます。

そこで大方さんは、座間味島の阿護の浦にある避難港で撮影を続けました。船が台風などから避難するための港であることから埋め立てられず、トウアカクマノミの生息環境が残っていたのだそう。

「こういう生き物がすんでいるということを知ってもらう」——そんな思いも、大方さんが撮影を続ける理由のひとつだったといいます。

一番好きなクマノミは?

ちなみに、「一番好きなクマノミは?」という質問に対しては、特別にトウアカクマノミが好きだったわけではないものの、長く撮影しているうちに好きになっていったという趣旨の回答も。

世界にはさまざまなクマノミが生息していますが、大方さんがこれまで実際に見たのは約18種類。全種類の撮影を目指したものの、軍事的な事情などから訪れることのできない地域もあり、実現は難しかったそうです。

魚の美しい姿を残すだけではなく、その魚がどこで、どのように暮らしているのかまで伝える──大方さんが長年続けてきた水中写真の背景を垣間見ることのできるエピソードとなりました。

写真の中から魚を探す<ミニクイズ>

大方さんの著書『どこにいるかな? うみのさかなたち』を使った「お魚探しミニクイズ」も行われました。

大方さんが撮影した写真の中に隠れている魚を探しながら、生き物の姿や周囲の環境を観察するプログラムです。

一見すると魚がいるようには見えない海中の風景。しかし、じっくり目を凝らしてみると、砂地や周囲の景色に紛れるように魚の姿が隠れています。クイズではツバメウオなどが登場しました。

写真を通して魚を探す体験は、水中の世界をより注意深く見るきっかけにもなりそうです。

サイン会&アマミホシゾラフグのグッズ販売も

トークショーの後にはサイン会も行われ、多くの参加者が大方さんとの会話を楽しんでいました。

また、SAKANA BOOKS店内には大方さんの著書をはじめ、魚や水の生き物に関する本が並び、「うまれたよ!」シリーズを集めたコーナーも登場。

イベントに合わせて入荷した「HOSHIZORA PROJECT(星空プロジェクト)」によるアマミホシゾラフグに関するグッズなども並びました。

知れば知るほど面白い<魚たちの暮らし>

水族館などで魚を見ると、つい色や形、大きさといった“見た目”に注目してしまいます。

しかし、自然の海で魚たちを観察すると、そこには餌を食べる、身を守る、子孫を残すといった目的のために、別種の生き物と関わったり、周囲の環境を巧みに利用したりする姿があります。

海の中を長年見続けてきた水中写真家の写真は、私たちが普段見ることのできない瞬間を見せてくれるもの。一枚の写真をきっかけに魚の行動や生き物同士の関係まで知っていくと、次に水族館や海で魚を見るとき、その見え方も少し変わってくるかもしれません。

(サカナト編集部)

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