沖縄県恩納村のホテル「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の監修のもと進めている「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」で、新たな成果が確認されたことを発表しました。
沖縄美ら海水族館の技術支援を受けて、自然海域へ放流した繁殖イソギンチャクが定着し、クマノミの生息環境づくりに向けた取り組みが一歩前進したといいます。
イソギンチャクの定着を確認 海で命をつなぐ環境づくりへ
瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクトは、自然下で減少傾向にあるカクレクマノミと、その住処となるハタゴイソギンチャクの保全を目的として進められているものです。
2026年3月には、沖縄美ら海水族館で飼育下繁殖したハタゴイソギンチャクと、OISTで育成されたカクレクマノミのペアを瀬良垣島周辺の海へ放流。ホテルのマリンスタッフが継続的に潜水調査を実施し、生息状況を観察しました。
その結果、2組のうち1組は約2週間にわたりイソギンチャク周辺で生活を続けていたことが確認されました。人工環境で育ったクマノミが自然海域に定着したことは、プロジェクトにおける最初の重要な成果とされています。
カクレクマノミの育成(提供:ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄)その後、クマノミは確認できなくなったものの、放流したイソギンチャクは自然海域に定着し、健康な状態を維持していることが判明しました。
イソギンチャクにはイソギンチャクモエビが共生する様子も確認されており、周囲の環境に適応しつつあることが伺えるといいます。
沖縄美ら海水族館と連携し調査継続
当初は6月中旬以降に追加放流を予定していましたが、沖縄地方を襲った台風の影響により、現地調査やダイビング作業は延期。7月中旬に調査と追加放流を実施し、新たなイソギンチャクとクマノミのペアを海へ送り出しています。
今回の調査では、放流したイソギンチャクでクマノミの姿は確認できなかったものの、イソギンチャク自体は良好な状態を保っていたそうです。
沖縄美ら海水族館・OIST・ハイアット、3者共同による、イソギンチャク移設作業・観察(提供:ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄)今後は、瀬良垣島周辺に生息するイソギンチャクの性別調査を進めながら、自然繁殖の時期に合わせた観察を継続する予定。イソギンチャクの放卵・放精や、放流したクマノミによる産卵が確認されれば、この海域が両種の繁殖に適した環境であることを示す重要な指標になると期待されています。
プロジェクトでは、沖縄美ら海水族館が放流方法の設計や繁殖技術など専門的な支援を担当。放流後もホテルスタッフが定点映像を撮影し、水族館の専門家が映像を分析・評価する体制が構築されており、科学的な知見を活用した継続的なモニタリングが行われています。
海洋保全の取り組みを自然学習プログラムにも展開
本プロジェクトで得られた知見は、宿泊者向けの自然学習プログラム「クマノミと瀬良垣島の海を学ぼう」にも活用されるといいます。
このプログラムでは、クマノミの保全活動やOISTの海洋研究、SDGs目標「海の豊かさを守ろう」をテーマとした講義に加え、シュノーケリング体験を組み合わせることで、沖縄の海洋環境について学ぶ機会を提供しています。
「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」は、OISTによる科学的な監修と沖縄美ら海水族館の専門的な技術支援を受けながら、クマノミとイソギンチャクが自然環境の中で繁殖し、命の循環を維持できる海の再生を目指す取り組みとして、今後も継続して調査・検証が進められる予定です。
※2026年8月5日時点の情報です
(サカナト編集部)