水産資源の管理や加工流通において、魚の体長と体重の計測は不可欠です。
しかし、手作業による魚の計測は膨大な時間と労力を要し、計測者によるばらつきも課題となっています。カツオは日本で広く食用とされる魚で、冷凍での流通が多い魚種です。
また冷凍魚では表面に霜が付いており、これが反射光に影響を及ぼし二次元画像解析が困難とされていました。そのため、体重と相関の強い体幅のデータは非接触で得ることが難しく、正確な体重推定には限界があったのです。
こうした中で、筑波大学の善甫啓一准教授らの研究グループは、非接触かつ高精度な自動計測するシステムを開発。熟練者の選別を上回る精度でのサイズ分けを実現しました。
この研究成果は「Fisheries Research」に掲載されています(論文タイトル:Non-contact 3D morphometrics and weight estimation of frozen skipjack tuna using timeof-flight point clouds on a conveyor belt)。
魚の大きさと体重を測定
水産資源の管理、流通では魚を正しく計測することが必要不可欠です。現状、魚の計測は手作業で行われていますが、これでは膨大な時間と労力を消費してしまします。
また、計測者によるばらつきも課題の1つ。カメラを用いた2次元画像解析といった手法もあるものの、冷凍魚は霜が付着し、カメラで正確な形を捉えることが困難です。
新たな手法で冷凍魚の体重を推定
こうした課題を解決すべく、筑波大学の善甫啓一准教授らの研究グループは、ToF(Time-of-Flight)方式の 3Dカメラと機械学習の1種であるランダムフォレストを組み合わせた、新たな手法を構築しました。
カツオ(提供:PhotoAC)この手法では、焼津港で水揚げされた冷凍カツオ207個体を対象に、実際のコンベア上で計測実験を実施。3Dカメラで取得した立体的な点群データから、尾叉長(びさちょう:吻端から尾鰭が二叉する凹みまでの長さ)、体高、体幅の3要素が抽出されています。
熟練者を上回る精度
実験の結果、3Dデータから得られた各寸法は実測値と概ね一致。体重では、7キロまでの個体において平気ね絶対誤差0.02キログラムという高い精度を達成しています。
また尾叉長と体高、体幅のデータを組み合わせることにより、体重推定の精度が格段に良くなることが明らかになりました。加えて、左右両面からの計測データを統合・平均化することで、魚体の傾きによる誤差を最小限にし、推定の安定性を実現したのです。
この手法によるサイズ分けの判定一致率は脅威の80.7パーセント。これは熟練者の判別一致率である73.9パーセントを上回る結果となりました。これにより、霜が付いた冷凍魚でも非接触かつ高精度で体重測定することが可能と実証されたのです。
リアルタイムでの計測の実現を目指す
今回の研究によって、3Dカメラを用いた冷凍魚の体重を推定する新たな手法が開発されました。この手法は熟練者の選別一致率を上回る性能が示されています。
ただし、この研究はまだ手法の有効性を示す段階とのこと。今後、研究グループはコンベアを止めないリアルタイムでの計測の実現を目指すとしています。
(サカナト編集部)