クラゲは海を漂っているイメージを持つ人も多いですが、漂わないクラゲもいるのです。小さいクラゲで、見つけられたらラッキースター。冷たい海に居るので、お探しの際はカチコチにならないように。
この記事では、そんな「漂わないクラゲ」を紹介します。
名は「十文字」と申す!
「クラゲは漂うもの、そして8月の海に押し寄せるもの」と思っている方々、漂わずにしがみつく、クラゲがいるのです。それが十文字クラゲ目の仲間たち。冷たい海に住み、海草に付着し、近くに寄ってきたプランクトンを食べています。
目名は「十文字クラゲ」となかなか渋いのですが、ウチダシャンデリアクラゲ、アサガオクラゲ、ヒガサクラゲなど華やかな名前のついたクラゲがいます。おおまかに、花の様な形のアサガオクラゲの仲間、交差点のようなジュウモンジクラゲの仲間がいます。
体は蕚部(がくぶ)と、付着するための柄にわかれています。蕚部には8本の腕があり、アサガオクラゲには花弁のように8本、十文字クラゲは4つの腕の先が二股に分かれるようについています。
それぞれから触手が伸び、刺胞が先端についています。アサガオクラゲの仲間には花弁のような部分の先端に刺胞が詰まった白斑が多数あります。
ポリプからどこかへ行くのをやめた
十文字クラゲの形を簡単に言うなれば、「ポリプ状」と言えます。ポリプとはクラゲの幼生の姿で、イソギンチャクのような形状をしています。
多くのクラゲはポリプの先端がエフィラ幼生(クラゲの原形)に成長し、切り離される、を繰り返して一つのポリプから多数のエフィラが出現して増えていくのですが、十文字クラゲはエフィラに成長したものがそのまま着底し、浮遊することなくそのまま有性生殖します。
水族館ではあまり観られない十文字クラゲ
十文字クラゲは飼育が難しく、水族館ではあまり見ることができません。葛西臨海公園では以前、北極で採取してきた藻や石に付着していたポリプがうまく成長し、展示に至ったことがあるそうです。
公益財団法人東京動物園協会が運営する都立動物園・水族園の公式サイト「東京ズーネット」には動画(クラゲらしくない北極のクラゲ – 東京ズーネット)も掲載されているので、捕食の様子をぜひ動画で見ていただきたいです。
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