ワカサギは内水面漁業における重要な水産物です。
琵琶湖でも1993年にワカサギが急増してから、漁業の対象となりました。しかし、近年は漁獲量が減少傾向にあるといいます。
また、琵琶湖の漁業関係者からは「ワカサギの産卵時期が早まっている」との声が上がっていたものの、産卵時期の調査は長らく行われておらず、その実態は謎に包まれていたのです。
そうした中で、近畿大学大学院の成田一平氏らの研究グループは、現在の琵琶湖におけるワカサギの産卵状況を明らかにすべく調査を実施。得られたデータと過去のデータの比較を行い、早期化の実態を明らかにしました。
この研究成果は『日本水産学会誌』に掲載されています(論文タイトル:琵琶湖におけるワカサギ産卵期の早期化)。
重要な水産物「ワカサギ」
ワカサギは日本において年間の漁獲量約1,000~2,000トン、産出額3~8億円を推移している重要な水産資源です。
ワカサギ(提供:PhotoAC)琵琶湖では1993年頃からワカサギの漁獲量が急増したことを受け、漁業の対象種となりました。琵琶湖の個体群は1958年に、滋賀県長浜市の余呉湖から移動し定着したものが起源とされるようです。
一方、その漁獲量は毎年変動があり、近年は減少傾向にあるといいます。しかし、琵琶湖のワカサギは国内移入種であることから、資源管理策は実施されていません。
琵琶湖におけるワカサギ産卵時期
1993年の漁獲量増加を受け、1995~1997年にかけて行われた調査で産卵期では、産卵場である琵琶湖流入河川での産着卵数の推移、漁獲された親魚の生殖体指数の季節的変化の解析が行われました。
その結果、当時の産卵時期は2月下旬~4月上旬と推定されています。
一方、近年は漁業者から子持ちワカサギの漁獲や遡上時期が早期化しているとの声が上がっていましたが、1997年以降は調査が行われておらず、産卵時期の詳細はわかっていなかったのです。
今回の研究では、2020~2021年と2021~2022年にわたり調査を行い、25年前の結果と比較を行い、産卵時期の早期化の実態に迫っています。
約25年前と比較して1~2ヵ月早い
研究グループは、2020~2022年に琵琶湖の流入河川と沿岸域で調査。
その結果、現在の産卵盛期が1月中旬~下旬と、約25年前と比較して1~2ヵ月大幅に早期化していることを明らかにしました。
また、琵琶湖西部の沿岸域においても、流入河川同様に1月中旬に最盛期を迎えることが判明しています。
ワカサギにおける産卵期の長期変化を評価した事例は少ないことから、この成果はワカサギの資源変動予測や持続可能な資源管理の構築に、重要な知見を与えるものとされています。
資源変動や池沼調査の基準に
今回の研究によって、琵琶湖沿岸、琵琶湖流入河川でワカサギの産卵の最盛期が約25年前と比較して1~2ヵ月と大幅に早期化していることが明らかになりました。
この成果は資源管理構築に不可欠な科学的知見とし、今後、資源変動の予測や池沼調査の基準になることが期待されています。
(サカナト編集部)