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生息域が北上中の猛毒タコ<ヒョウモンダコ> 間違いやすい近縁種との違いも解説

夏になり暖かくなってくると海へ出かける人も多いのではないでしょうか?

特に磯遊びをする人たちは熱中症だけではなく、毒を持った生物にも注意しなければいけません。

この記事では近年、北上しているヒョウモンダコをご紹介します。

ヒョウモンダコとは

ヒョウモンダコはマダコ科ヒョウモンダコ属に分類される小型の頭足類です。世界のヒョウモンダコ属は4種知られており、国内からはヒョウモンダコオオマルモンダコの2種が記録されています。

ヒョウモンダコ(提供:PhotoAC)

いずれの種も、黄色~黄褐色の体をしており、興奮すると青い模様が出現することが特徴。小型種であることに加えて特徴的な色彩を持つことから他のタコとは容易に区別できるでしょう。

タコだけどフグ毒を持つ

ヒョウモンダコとオオマルモンダコは毒を持つ生物としても有名です。

これらの種の唾液線にフグ毒として知られる猛毒「テトロドトキシン」を保有しており、咬まれると痙攣や呼吸困難などの症状に襲われ、最悪の場合、死亡することもあるといいます。実際、国内で死亡例はないものの、海外では死亡例が報告されているようです。

特にヒョウモンダコは日本の広い範囲に分布することに加え浅海域に出現すること、小さいことから注意が必要な生物と言えます。

かつて、房総半島以南、小笠原諸島、南西諸島に分布すると考えられていたヒョウモンダコですが、近年では分布が北上しており、福井県以南の日本海側でも発見されているようです。

ヒョウモンダコによく似たオオマルモンダコ

さて、日本には2種のヒョウモンダコ属、ヒョウモンダコ及びオオマルモンダコがいますが、これらはしばしば混同されています。

オオマルモンダコ(提供:PhotoAC)

しかし、この2種の違いは明瞭で覚えてしまえば間違えることはありません。まず、ヒョウモンダコオオマルモンダコの異なる点は模様です。いずれも黄色または黄褐色の地色に青い模様を持ちますが、オオマルモンダコではすべてがリング状になるのに対して、ヒョウモンダコでは一部、線状になっています。

また、この2種は分布域も異なり、ヒョウモンダコは房総半島以南などの広い範囲に分布するのに対して、オオマルモンダコは南方性が強く国内では南西諸島以南に分布するのみです。

なお、日本及び韓国のヒョウモンダコはオーストラリアに分布する種と異なる可能性があるようで、現在は未記載種として扱われていると言います。

見た目は綺麗だけど触らないようにしよう

見た目は可愛いらしくて綺麗なヒョウモンダコですが、唾液腺には猛毒を持ちます。しかし、タコが咬むのは危険を感じた時であり、向こうから積極的に襲い掛かってくることはありません。

安全に海を楽しむため、見つけても触らないようにしましょう。

(サカナト編集部)

参考文献

日本国内におけるヒョウモンダコ Hapalochlaena cf fasciata の分布, 体サイズ,成熟パターン

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サカナト編集部

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