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名古屋港水族館で極地のサカナに会う! 特別展「飼育係、南極に行く」レポート【愛知県名古屋市】

極地のサカナ」と聞いて、どのような生き物をイメージしますか?

ダンゴウオをはじめ、冷たい海の魚は見た目が不思議なものも多く、意外とファンが多いのではないでしょうか。

筆者は先日、特別展「飼育係、南極に行く」を開催中の名古屋港水族館に行き、あの<有名なエビ>に出会えてとても感激しました。その様子をレポートします!

癒しを求め、名古屋港水族館へ

東京から名古屋へは新幹線で2時間ほど。

最近仕事が忙しく、“水族館チャージ”が必要だった私は、大好きなイルカやシャチに会えるということで名古屋港水族館に行くことを決定。移動距離が現実逃避にちょうど良いことも理由の一つです。

しかし、名古屋港水族館では特別展「飼育係、南極に行く」なるものが開催されており、極地に行くことが人生の夢である私は本来の目的も忘れて、南極展示だけで1時間以上の時間を費やしたのでした……。

南極観測は国家事業!

そもそも、南極に行くこと(南極観測)は国家事業であるということを知っていますか?

手付かずの地である南極は、大昔の地球環境が残っていたり未知の生物が存在したりする貴重な場所。その地を調査して将来の地球環境を予測し、また、学術につなげていくのが観測隊の役割です。

もちろん設備は限られているので、行くことができるのは限られた人たちだけ。つまり、選ばれし一握りの科学者・技術者たちが集まるのが南極地域観測隊です!

当然、私は観測隊に参加することはできないので、このような特別展で追体験ができるのはありがたい限り。

パネル展示とジオラマ展示で構成 ライブ中継も

特別展はパネル展示と南極ゾーンでのジオラマ展示で、何箇所かに分かれていました。パネル展はとても分かりやすく、観測隊の紹介のほか、南極とは何か?といった基本的な内容がまとめられていました。

そして思わずじっと眺めてしまったのが、「昭和基地ライブカメラ」。若干の時差はあるものの、昭和基地の現在の様子が配信されていました。

昭和基地ライブカメラ(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

リアルタイムで南極の様子が見れるとは、とても貴重な体験。にしても、めっちゃ寒そう……。

南極展示エリア…の前に北海道からきた<スケトウダラ>

南極展示エリアには、南極から名古屋港水族館へ連れ帰ったサカナたちが展示されているということで、館内を進みます。

……とその前に、南極展示とは別でぜひ紹介したいのが、スケトウダラ。同種は北海道を中心に漁獲され、魚のすり身など加工品として使われることが多い魚です。

スケトウダラ(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

南極とは異なりますが、寒冷地の魚であるスケトウダラ。北海道大学からやってきた魚たちらしいのですが、宇宙船のようにふわふわと漂うようにゆったり泳ぐスケトウダラがすごく可愛い……!

模様や色の明暗も、個体によって違いました。個性ですね。

寒い地域の魚は、あまり目立つ色ではなかったり活発に動かなかったりと、食べることはよくあるけどあまり見ごたえがないのでは……というイメージを持たれがちです。

しかし、よく観察すると特徴的な見た目・形をしていたり、のんびり泳いでいるような姿を見られたりと、観察すればするほど魅力的なんですよ。

そんな寒い地域の魚が好きな私ですが、スケトウダラをここまで間近に見たことはなかったので、今回の名古屋港水族館への来訪の中でも特に印象的でした。

いざ、南極展示エリアへ!

さて、熱帯ゾーンなど経て、ついに南極展示エリアへと足を運びました。

暗がりを覗くと……。

サカナ好きなら知っている? あの“エビ”

見えました、ナンキョクオキアミです。

そう、サカナ好きの人は図鑑や本でよく目にする、あの“エビ”です!

エビのように見えますが、実はエビではなくプランクトンの一種です。

ナンキョクオキアミの水槽(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

初めて目にした感想は「意外と大きい」!

エビは底でじっとしているイメージが強いと思うのですが、浮遊性プランクトンであるナンキョクオキアミは必死に足を動かして泳いでいました。

ナンキョクオキアミ(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

食物連鎖の最下層に近い存在として有名な同種ですが、必死に泳ぐ姿を見て、1匹1匹に命があることを改めて感じました。

それにしても、ナンキョクオキアミを生で見られるとは……現代技術って、すごいですね。

ツルツル頭で坊主のような見た目<ボウズハゲギス>

続いて、正面を向いて鎮座していたのが、ボウズハゲギス。名前の通り、ツルツル頭で坊主のような見た目です。

ボウズハゲギス(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

南極では氷の下に生息していてよく釣れる魚だとか。

昭和基地の周辺でよく見られる<ショウワギス>

水温0.5度と思わず笑ってしまうくらい冷たい水の中で元気に過ごしていたのは、ショウワギス

ボウズハゲギスと同様に昭和基地の周辺でよく見られる魚。ボウズくんとは違い、黒い見た目です。岩と同化しやすい色なのでしょうか?

ショウワギス(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

動画が載せられないのが残念ですが、この日観察したボウズハゲギスとショウワギスは共によく泳いでいる姿を見ることができました。

尾びれはほとんど使わず、ひらひらと舞うように泳いでいました。ときには、胸びれを動かして歩くように移動するところも見られました。

ちょこんと座っている姿からは想像し難い可愛らしい泳ぎ方でした。

特別展の目玉!<メガネカモグチウオ>

そして、今回の特別展の目玉がこの魚。メガネカモグチウオです。

カモのように平たく長く伸びた口が特徴的です。

メガネカモグチウオ(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

メガネをかけたようなクリクリな目が可愛く、柄も他の魚では見たことのない不思議な柄と色味。日本で見れるのはここだけ……ということで、しばらくの間、眺めてしまいました。

観測隊による発見や軌跡 ペンギンエリアも

他にも、展示エリアの床には南極点を中心にした地図が描かれており、観測隊による発見や軌跡が書いてありました。冷たくて広い未知の大陸ってワクワクしますね。

展示エリアの床(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

そして、ペンギンエリアも。私はヒゲペンギンが好きなのです。

ヒゲペンギン(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

2代目の南極観測船<ふじ>を見学

ついでに、水族館の外にある「南極観測船ふじ」も見学。船の中には美容室や歯医者もあって、「南極に行くというのはこんな感じなのか……!」と好奇心がさらに刺激されました。

ここに全て載せてしまうのはもったいないので、気になる方はぜひ現地に行ってみてください。チケット代わりに乗船証明書がもらえちゃいますよ!

南極観測船ふじと乗船証明書(撮影:moka/撮影場所:名古屋港水族館)

世界最北端の水族館で北極地の魚を見たい そして、いつか極地へ

筆者は「いつかは極地に行ってみたい」という夢を持っています。昨年、フィンランドに旅行したこともあり、憧れがますます強くなりました。

冬季の平均気温がマイナス10度を下回るほど寒い地域であるフィンランドでは、サーモンやエビが食を支えていました。日本にはない魚食文化も、寒冷地の魅力ですね。

フィンランドの食材売り場(撮影:moka)

そもそも、極地は本来“人が住めない世界”。冒険心のようなものがくすぐられ、とても魅力的に感じます。

冒険心という意味では、アマゾンにもいつかは行ってみたいのですが、やはり普通の人がなかなか行けない、そもそも生き物に適した場所ではないというところに惹かれているのかもしれません。

自分たちの身体を工夫してまで、極地に住むことに適応した魚たちは本当にすごいし、他の魚たちとは「住んでる世界が違う」という感じがしてやっぱり面白いな〜と、今回の特別展の展示を見て再確認しました。

2025年はもっと極地の魚に出会いたい!

日本では、北海道の水族館を中心に寒冷地の魚に出会えます。一方、極地の魚に会える水族館は果たしてどのくらいあるのでしょうか。名古屋港水族館の他には、葛西臨海水族園くらいでしょうか。

まだリサーチができていないのですが、もし「ここの水族館なら見れるよ」という情報があれば、ぜひ教えてもらいたいものです。

そして、実現するかは分かりませんが、2025年はノルウェーにある水族館「polaria」に行ってみたいなと考えています。世界最北端の水族館らしく、北極地の魚が見られるのだとか。

新たな夢を抱いて、2025年も元気に仕事を頑張ろうと思います。

ちなみに、南極の魚についてもっと知りたい人には、『たくさんのふしぎ版 南極のさかな大図鑑』(福音館書店)がとてもおすすめ。写真ではなく、イラストなのですが、柔らかいのに繊細な色味が素敵な本です。

(サカナトライター:moka)

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moka

福岡出身。海のあらゆる生き物と水族館が大好きです。 いつか南米アマゾンと極地に行くのが夢。 1人旅の記録を中心に、水族館探訪記を連載します。

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