夏になると増えるクラゲ。毒を持つ種も多く、基本的にヒトは積極的に近づくことがないであろう存在ですが、そんなクラゲを好んで近づいていく魚がいます。
ダイビングをしている途中、ユウレイクラゲなどの大きいクラゲを見つけた時は、触手には充分注意をしながら、中を覗いてみましょう。なんと、クラゲの中には小さな魚たちが隠れていることがあるのです。
彼らはなぜ、危険な生物であるクラゲの中に飛び込んでいくのでしょうか?
触手の毒を活用して天敵から逃れる?
クラゲの中によくいる小さな魚は、イボダイの幼魚やハナビラウオの幼魚であることが多いです。これらの魚たちは、クラゲの中を住処にしています。

クラゲの触手には毒があるため、幼魚たちは周りの天敵から身を守ることができます。彼らは体表に粘液が多く、クラゲの毒の影響を受けずに、触手のなかで暮らしていくことができるのです。
その姿は、まるで有毒のイソギンチャクに隠れて暮らすクマノミのようですね。
クマノミの体表にも粘液がありますが、この粘液はシアル酸という成分が他の魚より極めて低いのだとか。イソギンチャクはシアル酸に反応して刺胞を発射するため、シアル酸が少ないクマノミはイソギンチャクに刺されずに過ごすことができるそうですよ。
クラゲと一緒に海を漂う
イボダイの幼魚やハナビラウオの幼魚は、クラゲを乗り物のようにして移動することもあります。

クラゲの中に住むことで、クラゲが流れていくのと共に、自らを遠くに運ぶことができるのです。

彼らにとってクラゲは、まるで「愛車」のよう。“動く家”とも言えるかもしれません。
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