マグロの競りでは、独特な手の合図や掛け声が飛び交っており、不思議な空気が漂っています。
マグロはあっという間に競り落とされていきますが、参加する人はマグロの何を見て1本の価値を判断しているのでしょうか。
【画像】これまでは捨てられていた? いま注目が集まる<マグロの部位>
マグロは種類によって価格差が大きい
マグロは種類によって価格差があります。
市場のマグロ(提供:PhotoAC)日本では多くの場合、クロマグロが最も高価で取引され、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガと続きます。
クロマグロ
マグロ類の中で最高級品とされているのが、クロマグロです。「本マグロ」とも呼ばれており、主に、刺身として利用されています。
地中海を含む大西洋と太平洋を中心として北半球に分布する大型魚です。大西洋にはタイセイヨウクロマグロという種も生息しています。
ミナミマグロ
クロマグロに次いで高級品とされているのが、南半球の高緯度海域に広く分布しているミナミマグロです。
日本では「インドマグロ」とも呼ばれていますが、これは、昔インド洋で多く漁獲されたことに由来します。
こちらも、刺身として主に利用されています。
メバチ
メバチは、世界中の温帯・熱帯海域に広く分布しています。
目がぱっちりと大きいことから「メバチ」と名付けられたといわれており、その特徴から「ダルマ」とも呼ばれることも少なくありません。
メバチマグロも同様に刺身として主に利用されています。
キハダ
キハダはメバチとほぼ同じ温帯・熱帯海域に分布するマグロです。
体色が黄色いため「キハダ(黄肌)」と呼ばれるようになったとか。
キハダマグロは、刺身のほかに缶詰にも利用されています。
ビンナガ
マグロの中で最も小型の種類がビンナガで、世界中の広い海域に分布しています。
本種の大きな特徴が胸びれが長い刀状になっていること。この特徴から「ビンチョウ」「トンボ」とも呼ばれています。
油漬け缶詰の原料として使われていますが、最近では刺身としても利用されることも。
マグロの“質”に影響を与える様々な漁法
マグロの質に影響を与える要素の一つが「漁法」です。
種によって、様々な漁法でマグロが漁獲されています。
竿釣り(一本釣り)
竿釣り、いわゆる「一本釣り」は1匹ずつ釣り上げることから魚に傷が付きにくく、鮮度の良い状態で捕獲できます。
ビンナガなどを対象にして行われますが、かなり手間がかかるため、高値で取引されることが多いです。
延縄(はえなわ)
延縄は、マグロを1匹1匹釣り上げるため、マグロが暴れたりほかの魚とぶつかったりすることが少なく、鮮度が良く、比較的傷も少ない状態でマグロを捕ることができます。
一本釣りと同様に高値で取引されますが、一本釣りよりも多くのマグロを漁獲することが可能です。主に、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガを対象としています。
巻き網
巻き網は、マグロを一度に大量に捕ることができますが、魚の群れ全体を巻き込むため、魚の表面に傷が付きやすくなります。
そのため、巻き網漁法で捕獲されたマグロの値段は安くなる傾向にあります。
主に、クロマグロやキハダマグロを対象にした漁法です。
曳き縄釣り
曳き縄釣りも1匹ずつ釣リ上げる漁法で、鮮度も質もいいマグロを捕ることができます。
主に、クロマグロを対象としています。
マグロの価値は“脂”の具合で決まる?
基本的に、脂がのったマグロは価値が高いとされています。
大きいマグロが良いというわけではなく、太っているかどうかが重要です。
市場のマグロ(提供:PhotoAC)競り人は、横向きに寝かせたマグロの床からの高さで“太り具合”を見極めます。同じ大きさや長さのマグロでも、丸っこく太っている方が脂がのっているといえるでしょう。
断面からわかること
脂ののり具合は、尾の部位の断面から判断することもできます。懐中電灯で断面を照らして脂ののりを確認するのです。
脂がのっているマグロは、ギラリと反射するといいます。断面を触って脂を手のひらで伸ばすことで、脂の質も分かるそうです。
また、手鉤(てかぎ)という道具を使い、刺した時の音などから脂ののりや品質を確認する方法もあります。
さらに、内臓を抜いた腹の切れ目の色や厚みなどからも、脂ののりを見分けることができるそうです。
実際には様々な方法で見極めている
実際の競り場では、紹介した方法だけでなく、さまざまな方法で見極めています。
ただ、家庭でマグロを買う時は、マグロの種類と特徴を知っておくことで、用途に合ったものを選びやすくなるはずです。
ぜひマグロの種類を意識しながら、味わってみましょう。
(サカナトライター:うる)