3月中旬頃から北海道の桧山沖でベニズワイガニ漁が始まりました(桧山沖 ベニズワイガニ漁始まる 江差港で水揚げ 北海道NEWS WEB-NHK)。
ベニズワイガニは日本海の深海で多獲されるカニの1種で、漁獲されたベニズワイガニは全国へ出荷されます。
ベニズワイガニはすごく深い場所に生息している
ベニズワイガニはケセンガニ科(かつてのクモガニ科)ズワイガニ属の大型甲殻類。国内では日本海や茨城県以北の太平洋に分布し、水深500~2500メートルと非常に深い海に生息するカニです。
水産上重要な種であることから日本海側を中心に北海道などでも漁業が盛んに行われており、一部の混獲を除けばそのほとんどが籠漁で漁獲されます。また、国外からの輸入品もあり、ロシア産やアラスカ産のものが流通しています。
ベニズワイガニの名前の由来は“紅いズワイガニ”。ズワイガニは漢字で「楚蟹」と書き、楚(すわえ)のように長い脚も持つことが由来とされる他、脚に対して頭が小さいことから「頭矮蟹」と呼ばれるようになった説があります。
ベニズワイガニとズワイガニの違いは?
気になるのがズワイガニとベニズワイガニの違い。この2種はどちらもケセンガニ科ズワイガニ属に分類されるため、姿が似ているもののいくつかの違いがあります。
まず体色が異なります。ズワイガニは薄い赤褐色をしているのに対して、ベニズワイガニは茹でていないにもかかわら紅色をしており、これは標準和名の由来にもなっています。
生息する深度でも両種は異なります。ベニズワイガニは水深500~2500メートルの深海に生息しているのに対して、ズワイガニは水深180~350メートルの比較的浅い海に生息します。また地理的分布では両種とも日本海や北部太平洋に分布するなど、ある程度の重なりが見られます。
ベニズワイガニはズワイガニよりも安価で楽しめる
ズワイガニとベニズワイガニとの違いは見た目や生息する深度だけではなく価格にも現れています。
ズワイガニは本ズワイとも呼ばれる高級ガニで、山陰地方で水揚げされるブランドガニ「松葉ガニ(雄のズワイガニ)」は非常に高価。漁が解禁される11月の初競りでは数百万円もの価格で競り落とされることも珍しくありません。
これに対してベニズワイガニはリーズナブルに取引されるカニと言えます。ズワイガニと比較して価格が低いとはいえ味が劣る訳ではなく、旬である冬は特に強い甘みを持つことが特徴。茹でガニや焼きガニなど様々な料理で食べられています。
ベニズワイガニの価格が安い理由の一つは漁期の長さが挙げられるでしょう。例えば、松葉ガニの漁期は11月から翌年3月ですが、富山湾のベニズワイガニ漁は9月1日から5月末頃までと比較的長めです。ただし、漁期は地域によって異なり、場所によっては自主休漁を設けている地域もあります。
ベニズワイガニは低価格であることからズワイガニよりも味が劣るカニと誤解されることもありますが、ベニズワイガニも美味しいカニとして人気。カニといえば多くは高級品ですが、ベニズワイガニのように安価で買えるのはありがたいですね。
(サカナト編集部)