和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドは、“世界最小のペンギン”として知られるコガタペンギンの赤ちゃんが誕生したと発表しました。
コガタペンギンの赤ちゃんが生まれたのは5月29日で、同園での同種の繁殖成功は初めて。これにより園内で飼育する全8種のペンギンすべてで繁殖に成功したことになります。
赤ちゃんは順調に成長しているといい、6月6日から一般公開を開始しています。
園内で初めての命つなぐ“世界最小ペンギン”
アドベンチャーワールドによると、コガタペンギンの赤ちゃんは4月24日に産卵された卵から36日間の抱卵期間を経て、5月29日に孵化しました。
出生時体重は37.2グラムで、性別は現時点では不明ですが、1年後をめどにDNA検査による雌雄判定が行われる予定だといいます。
両親はいずれも他施設から受精卵移動によって同園で孵化・成長した個体で、これまでに同手法により計5羽が孵化していますが、園内での自然繁殖成功は今回が初です。
人間の生活圏に近い海岸線に生息
コガタペンギンはオーストラリア南部やタスマニア島、ニュージーランドなどの温暖な沿岸域に生息する小型種で、体長30〜45センチ、体重約1キロとペンギン類で最も小さいのが特徴です。
人間の生活圏に近い海岸線に生息することから、交通事故や海洋ごみの誤食、海水温の上昇に伴う餌資源の変化など、多様な環境影響にさらされています。
24時間ライブ配信も実施
赤ちゃんは当初バックヤードで飼育されていたものの、体調は良好であることから6月6日から園内の「ペンギンベース」1階エリアで一般公開を開始。開園から午後5時までの公開で、非公開施設であるペンギンベースのうち、1階部分のみが来園者に開放されています。
なお、動物の体調などにより、公開内容が変更または中止となる可能性もあるそうなので、注意が必要です。
誕生したコガタペンギン(提供:株式会社アワーズ)アドベンチャーワールドは同日から、公式YouTubeチャンネルで赤ちゃんの様子を伝える24時間ライブ配信も開始。終日視聴が可能ですが、動物の体調や飼育管理上の都合、通信環境などにより配信を一時休止または中止する場合があるそうです。
関西でコガタペンギンに会えるのは同園のみ
国内でコガタペンギンを飼育している動物園・水族館は4施設で、関西エリアで同種に出会えるのはアドベンチャーワールドのみ。同園では現在、オス3羽、メス2羽、今回誕生した赤ちゃん1羽の計6羽を飼育しています。
野生下では地中に掘った穴や岩の隙間などに巣を作って生活し、1度の繁殖で2個の卵を産み、親が交代しながら約35日間抱卵する習性があります。
コガタペンギン(提供:株式会社アワーズ)コガタペンギンは繊細で環境変化に敏感なため、人工飼育下での繁殖・育雛には高度な技術と長期的な取り組みが求められるそうです。
同園は受精卵移動を通じて血縁の偏りを防ぎつつ個体群を維持する取り組みを進めており、今回の繁殖成功は、飼育技術と繁殖管理の成果を示すものといえます。
全8種で繁殖成功 「ペンギンプロジェクト」が結実
アドベンチャーワールドは、1978年の開園時からフンボルトペンギンとキタイワトビペンギンの飼育をスタートし、1990年以降、「ペンギンプロジェクト」として繁殖研究に本格的に取り組んできたといいます。
これまでにアデリーペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギン、オウサマペンギンなどで繁殖実績を重ね、2004年には世界で2園館目となるコウテイペンギンの繁殖に国内で初めて成功し、日本動物園水族館協会の繁殖賞も受賞しています。
現在、同園は国内最多となる約500羽・8種のペンギンを飼育しており、2026年のコガタペンギン初繁殖成功により、飼育する全8種での繁殖達成という節目を迎えました。
コウテイペンギンでは人工授精による有精卵の世界初確認も行われており、絶滅が危惧されるペンギン類の保全と繁殖技術の確立に向けた取り組みを進めています。
命のつながり通じ地球の未来を発信
アドベンチャーワールドでは、2026年4月に絶滅危惧種に指定されたコウテイペンギンを軸に、地球環境や生物多様性への関心を高める「38℃ MIRACLE Project」を展開しています。
その一環として、園内で暮らすコウテイペンギン19羽の名前募集企画を6月1日からスタートし、識別番号だけでなく「名前」を通じて一羽一羽の存在に親しみを持ってもらうことを目指しているそうです。
今回誕生したコガタペンギンの赤ちゃんもまた、変化の大きい海の環境の中で生きる野生動物の象徴として、来園者やオンライン視聴者に命の尊さや環境保全の必要性を伝える存在となりそうですね。
詳細はアドベンチャーワールドのウェブサイトで確認できます。
※2026年6月9日時点の情報です
(サカナト編集部)