佐賀県唐津市相知町横枕の自然共生区域で、生物多様性を継続的に記録するための生物調査が始まりました。
NPO法人唐津Farm&Foodは8月7日、佐賀大学農学部の徳田誠教授とシステム生態学研究室の学生らの協力を得て、初回の生物調査を実施。初回の調査ではカワセミをはじめ、水辺や林の周辺に生息する複数の生きものを確認しました。
今後は赤外線センサーカメラも活用し、季節ごとの環境変化を調べるとしています。
網とカメラで水辺から林まで調査
実施された調査では、田んぼ周辺の水辺から林の縁にかけて、タモ網や捕虫網を用いて生きものを採集・記録。調査中には、小魚をくわえたカワセミの姿も確認されたといいます。
小魚を咥えたカワセミ(提供:特定非営利活動法人唐津Farm&Food)このほか、休耕田付近ではネキトンボの未熟個体やカワニナの仲間、ため池のそばではタゴガエル、横枕神社周辺ではイボバッタが確認されました。
タゴガエル(提供:特定非営利活動法人唐津Farm&Food)林内には赤外線センサーカメラを設置。人の目や網による調査だけでは把握しにくい哺乳類や夜行性の生きものについても、映像記録を通じて確認する計画です。
科学的な記録を地域管理に生かす
横枕は2023年度後期に、佐賀県で初めて環境省の自然共生サイトに認定された里山。これまでにも地域住民の経験を通じて生きものの存在は把握されてきましたが、科学的な根拠に基づく継続的な評価や管理手法の整備が課題となっていました。
今回の事業では、対象種や調査地点、季節による変化を踏まえた調査計画を大学とともに設計。水生生物や昆虫、夜間に活動する生きものを対象に、年3回の調査を行う予定です。
調査の様子(提供:特定非営利活動法人唐津Farm&Food)蓄積したデータは、里山の環境価値の把握や、地域に適した管理指標の検討につなげます。
秋と晩秋にも調査を予定
本事業は、環境省の2026年度生物多様性保全推進交付金の採択事業として実施。佐賀大学、唐津の農業青年クラブ「4Hクラブ」、地域住民らが協働し、今年6月から2027年2月にわたり行われます。
2回目の調査は秋、3回目は晩秋に予定。同一の手法で記録を重ねることで、季節ごとの生息状況や環境の変化を把握し、地域主体で継続できる保全・管理体制の構築を目指すといいます。
(サカナト編集部)