公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は9月1日、気候変動が野生生物や自然環境に及ぼす影響を伝え、支援を呼びかけるキャンペーン「進む異変、揺らぐ未来。」を開始しました。
2026年4月に絶滅危惧種として評価されたコウテイペンギンをメインに、気候危機と生物多様性の保全をめぐる課題を発信します。
キャンペーンのイメージ(提供:WWFジャパン)棚氷の減少で繁殖への影響が懸念
コウテイペンギンは、南極大陸沿岸に広がる海氷や棚氷の上で繁殖し、ヒナを育てています。しかし近年は気候変動に伴う環境変化によって、繁殖に必要な海氷の減少や崩壊が各地で報告されています。
2022年には、主要な繁殖地の一つであるベリングスハウゼン海で、棚氷を含む海氷が広範囲に減少。これにより、多くの個体が繁殖に失敗した可能性が指摘されているといいます。
こうした状況を受け、IUCN(国際自然保護連合)は2026年4月、コウテイペンギンを絶滅危惧種として評価しました。
これまで、南極は人間の開発や乱獲の影響を比較的受けにくい地域とされてきました。一方で、世界各地から排出される温室効果ガスによる気候変動は、南極の生態系にも影響を及ぼしていることがわかっています。
複数の野生生物に広がる気候変動の影響
気候変動による生息環境の変化は、コウテイペンギンに限られません。
ナンキョクオットセイや北極圏のトナカイでは個体数の減少が懸念されており、ユキヒョウ、ジャイアントパンダ、コアラなどでは、開発による生息地の縮小に気候変動の影響が重なっています。
コアラ(提供:PhotoAC)保護活動によって回復傾向が報告されていた種にも影響は及んでおり、アオウミガメでは産卵場所の砂温上昇により、オスが生まれにくくなる可能性が指摘されています。また、中央アジアのサイガでは、感染症のリスクが高まることが懸念されています。
WWFジャパンによると、気候変動の影響を受ける絶滅危惧種は8,000種以上にのぼるとされています。
南極の変化が沿岸都市や海洋資源にも影響
南極で起きる氷床の不安定化は、海面上昇の加速につながる可能性があります。進行した場合、日本を含む沿岸都市の暮らしや経済活動への影響が想定されます。
また、海洋循環の変化を通じて、各地の気候や水産資源に影響が及ぶことも懸念されています。
WWFジャパンは、政策提言、企業や金融機関との協働、再生可能エネルギーの導入支援、環境教育、森林保全などに取り組んでいます。
今回のキャンペーンでは、気候変動対策と生物多様性保全の必要性を伝えるとしています。
(サカナト編集部)