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<アデリーペンギン>は地域によって生存率が異なる? 幼鳥における生存状況が明らかに

南極に生息するアデリーペンギンは、地域ごとに個体数の変動が異なることが知られており、南極半島域で減少傾向にあります。

先行研究では、巣立ち直後の幼鳥に衛星発信機を装着し、信号の消失パターンから巣立ち後の生存状況を調べてています。その結果、幼鳥の巣立ち直後の死亡率が著しく高いことがわかっています。

しかし、この死亡率の高さが南極半島域特有なのか、また死亡率に大きく関係すると考えられる、巣立ち直後の潜水能力については十分に研究されていませんでした。

そうした中で、総合研究大学院大学の北川達朗氏らの研究グループは、個体数が増加傾向にある東南極リュツォ・ホルム湾周辺で繁殖するアデリーペンギンの幼鳥に衛星発信機を装着し、生存状況を調査しました。

この研究成果は『Royal Society Open Science』に掲載されています(論文タイトル:Satellite telemetry suggests significant regional variation in post-fledging survival of Adélie penguins)

巣立ち直後の幼鳥の生存率

多くの鳥類は、幼鳥は巣立ちとともに親から独立し、捕食者という脅威に晒されつつ自ら餌を探します。

この幼鳥期は成鳥よりも生存率が低いことが知れらているほか、生存率は将来の個体数を左右する要素の1つ。そのため、幼鳥の巣立ち後の生存率とされに影響する要因を知ることは重要とされています。

アデリーペンギンの個体数変動

アデリーペンギン(提供:PhotoAC)

南極に生息するアデリーペンギンは地域によって個体数の変動が知れています。中でも南極半島域では減少傾向にあるようです。

この地域を対象にして行われた先行研究では、巣立ち直後のアデリーペンギンの幼鳥に衛星発信機を装着することで、生存状況を調べ巣立ち後の生存率が著しく低いことが明らかになっています。

しかし、この生存率の低さが南極半島域特有なのか、他の地域でも共通しているのか謎に包まれていました。また、生存率に大きく関係しているとされる巣立ち直後における潜水能力も詳しくわかっていなかったのです。

18個体に衛星発信機を装着

今回の研究では、東南極リュツォ・ホルム湾周辺で繁殖するアデリーペンギンの幼鳥を対象にして行われました。

研究グループは、巣立ち直後の幼鳥18個体に衛星発信機を装着し、南極半島域と同様に生存状況を調査。さらに、一部の個体に潜水データを記録する衛星発信機を装着し、幼鳥の潜水能力の発達も調べられています。

南極半島域は死亡率が高い?

調査の結果、研究グループは18個体中15個体から最長152日間の巣立ち後の位置情報を取得することに成功。このうち5個体からは巣立ち後の潜水記録が得られています。

衛星発信機の信号消失に基づき、幼鳥の巣立ち後の生存状況を推定した結果、南極半島では10日以内に7割が消失したのに対し、リュツォ・ホルム湾ではの発信機の信号消失は緩やかなことが確認されました。このことから、南極半島の生存率が極端に低いと考えれています。

追跡中の幼鳥の死亡リスクを比較した結果では、南極半島域はリュツォ・ホルム湾よりも4倍も高いことが明らかに。これらの結果から、巣立ち直後の生存率に地域差があり、幼鳥が経験する環境の違いが関連している可能性があると考えられています。

巣立ち直後の幼鳥は潜水能力が未発達

さらに、リュツォ・ホルム湾の幼鳥5個体から得られた潜水記録では、最大潜水深度が巣立ち後数日の経過とともに増加することが明らかになっています。

この結果は、幼鳥の潜水能力が巣立ち直後は未発達であることを示しており、巣立ち直後の死亡率を高めている原因の1つとなっている可能性を示唆するものとなりました。

生存率は地域によって大きく異なる

今回の研究によって、アデリーペンギンの巣立ち直後の生存率は地域によって大きくことなること、巣立ち直後の未発達な潜水能力が死亡率を高めている可能性が示されました。

この成果は、アデリーペンギンの個体数同行が生じている要因の1つとして、幼鳥期の生存率が重要であることを示すものです。今後、様々な地域で複数年、同時観察することで、幼鳥の生存状況に地域差が生じている要因を明らかにすることが期待されています。

(サカナト編集部)

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