沖合で釣れるカサゴ4種
カサゴ類は浅海だけではなく深場に生息する種も少なくありません。
深場に生息するカサゴ類の体色は赤いことが多いことが特徴で、主に底引き網やアマダイなどを狙った沖合の釣りで頻繁に見ることができます。
イズカサゴ
イズカサゴはスズキ目フサカサゴ科に属する大型のカサゴ類で、真っ赤な体色と厳つい姿、毒のある背鰭棘、体に発達した皮弁など多くの特徴を持ちます。
本種はその姿から別名「オニカサゴ」とも呼ばれており、釣り人はもちろん漁業関係者の多くがこの呼び名を使用しています。むしろ、イズカサゴだと伝わらないことが多いのが現状。不思議なことに標準和名「オニカサゴ」がいるにもかかわらず、水産業でオニカサゴといえば本種を指すのです。
イズカサゴとオニカサゴの違いはイズカサゴの方が体色が赤い傾向にあることや、イズカサゴの腋部には皮弁があることなどで区別することができます。
味が非常に良いことから市場での評価が高く、非常に高い値段で取引されています。その人気は本種を専門に狙った遊漁船がある程です。
ウッカリカサゴ
ウッカリカサゴはカサゴと同じカサゴ属に分類される魚で、うっかりカサゴと間違えてしまうことからこのような標準和名が与えられてました。
同属のカサゴと比較して深場に生息し、体色に赤みがあることが多いです。カサゴとは体側の白色班が明瞭かつ黒く縁どられること、胸鰭の軟条数が通常19本であることから区別することができます(カサゴでは通常18)。
別名「カンコ」とも呼ばれており、釣り人から人気の高い魚です。
アヤメカサゴ
アヤメカサゴはやや深場に生息するカサゴ属の魚。日本のカサゴ属は本種を含むカサゴ、ウッカリカサゴの3種のみが知られています。
赤い体色と黄色の虫食い状班から他のカサゴ属と容易に区別することが可能です。味が良いだけではなく見た目もよいためやや高値で取引されています。
ユメカサゴ
ユメカサゴはスズキ目メバル科ユメカサゴ属に分類される魚です。
本種は砂泥底に生息する種で、主に深場の釣りや底引き網で多獲されます。同じく深場に生息するイズカサゴやウッカリカサゴなどと比較すると小型の個体が多いものの、味は良いため底引き網が盛んな地域では市場や魚屋で頻繫に見ることが可能です。
ちなみに、国内のユメカサゴ属は本種の他にオキカサゴとニセオキカサゴが知られていましたが、「日本海におけるオキカサゴの分布の再検討」により、日本からのオキカサゴの記録はバラメヌケとユメカサゴの誤同定であることが判明し、オキカサゴは日本から未記録になりました。