東京海洋大学初のベンチャー企業「さかなドリーム」
東京海洋大学では、先述の「代理親魚」と呼ばれる技法を使い、漁獲や養殖が難しい魚の安定供給をできるよう開発をすすめています。2024年、その代理親魚という技法を使い消費者に魚を届けるためのベンチャー企業「さかなドリーム」が設立されました。
この代理親魚技法では、ドナー種の生殖幹細胞を代理親に移植することで、代理親が繁殖するとドナー種由来の魚が生まれるという技術です。小型種を代理親とすることで飼育にかかるコストを減らすことができます。
他にも、この技術を使って絶滅種の復活に寄与できたり、遺伝情報を保存したりと、種の保全の選択肢が広がります。ハイブリッド種を生むだけでなく種の保全に貢献できるこの技術は、これからも注目されていくのではないでしょうか。(参考:代理親魚技法-SAKANA Dream)
注目が高まるハイブリッド魚 一方で懸念点も
より育てやすく、より美味しく……生産者と消費者の願いを叶えるようなハイブリッド魚。水産資源の問題や種の保全などの課題も解決しようと取り組む姿、今後も注目が高まっていくのではないでしょうか。
生け簀から流出する事案が発生するなど課題も多い
しかし、養殖されたハイブリッド魚が生け簀から流出してしまうといったニュースも。ハイブリッド魚は自然界には存在しないので、環境への影響を見直したり、陸上養殖の必要性を検討したりと考えるべき課題も多く存在します。
近年、ハイブリッド魚を食べることのできる機会も増えてきました。こういった魚が生活の一部になることは最新の研究成果を知る機会になる一方、私たち人間の生活が生態系に及ぼす影響を考える機会にもしていくべきなのかもしれません。
(サカナト編集部)
※2024年6月6日 12:00に追記を行いました。
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