図鑑を開いて出てくるのは、ほとんどが成魚の写真。幼魚は写真も情報も少なく、水族館でも飼育していることは少ないことから目立たない存在ですが、どの魚も通ってきた道です。
その姿からは、生き残るための工夫や進化の歴史を感じることができます。また、その愛くるしい姿は幼魚時代特有のもの。これらのことからも、幼魚愛好家は少なくありません。
筆者の息子もその1人。手軽に行えることもあり、最近は漁港での幼魚採集に夢中になっています。現在挑戦している幼魚採集と飼育について、息子や自分の体験をもとに紹介します。
幼魚はどこにいるの?
幼魚は、漁港の岸壁からタモ網を使って採集することができます。海に入水しなくてもできるので、子どもでも、冬でも採集しやすいです。使う道具は少なく、網とバケツがあればできます。
私達は幼魚を探しに地域の漁港へ行っています。小さな幼魚は、海面を漂っていたり、流れ藻に隠れていたりすることがあります。幼魚採集の情報は岸壁幼魚採集家であり静岡県沼津市にある幼魚水族館の館長である鈴木香里武さんの著書『岸壁採集! 漁港で出会える幼魚たち』(ジャムハウス)を読んで学びました。
季節と場所によって見られる幼魚は変わりますし、地域によっては深海魚が見られることもあります。暖かくなってくると南方から黒潮に乗って季節来集魚が流れてくるため、夏は最も幼魚が見られます。
幼魚を生きたまま運ぶ
幼魚はとてもデリケートです。幼魚を捕まえたら、急いでバケツの水の中へ入れます。人間の体温で火傷をしてしまうので手で触らないように気をつけます。
生きたまま持ち帰るには海水と酸素と温度管理が重要です。酸素を供給するには、エアーポンプを付けましょう。電源はとれないことのほうが多いので、乾電池式のものを選びます。また、魚は温度変化にとても敏感。温度変化が起きないように、材質や特徴を比べながら保温性の高いイケスを選びましょう。
また、夏場は採集中にバケツ内の水温が上がってしまうことが多いです。こまめに水換えをして、温度変化で魚たちが弱ってしまわないように気を付けましょう。
幼魚の飼育環境
幼魚は様々なサイズで何種類も採れるので、水槽に混泳させるとどうしても捕食されてしまう子が出てきます。体型と気性を見て、隔離しなければならない子は水槽内で隔離ケースに1匹づつ入れてあげます。
大きな水槽の一角で幼魚を飼育することで、大きな水槽のフィルターにより一気に酸素が供給できるので少しお世話が楽になりますよ。
エサは冷凍のミジンコやブラインシュリンプが良さそうです。とても口が小さいので、1ミリもないミジンコなどを一粒づつ食べている様子を見て確認します。よく見るとしっかり餌を食べている姿が可愛いです。
飼育をはじめた幼魚は、最後まで責任を持ってしっかりお世話しましょう。大きくなったからといって、近くの海に逃がしてはいけません。
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