今月11日、宮城県閖上(ゆりあげ)漁港で今シーズン初となる赤貝の水揚げが行われました。
最近は貝毒の影響で出荷規制が続いていましたが、今シーズンの漁は9月から開始。11日の入札の最高額では1キロあたり4360円もの値が付きました。
赤血球を持った二枚貝
赤貝(あかがい)はフネガイ科に属する中型の二枚貝。殻長10センチ程まで成長し、刺身や寿司、小型のものは煮付けなどで食べられています。
本種は日本各地の内湾に分布し、各地で非常に需要の高い二枚貝として知られています。
赤貝はかつて東京湾でも多産し、江戸前寿司には欠かせないネタでした。現代においても赤貝の需要は高く、国産だけではなく中国や韓国からの輸入品も多く流通しています。
なお、赤貝という名前は本種の身が赤いことに由来し、英語ではBloody clamと呼ばれているようです。
赤貝が赤い理由とは
では、なぜ赤貝は赤い色をしているのでしょうか?
実は赤貝が赤い理由は特殊な血液にあります。
我々がよく目にするアサリやハマグリなどの二枚貝では、血液中に白血球のみを持ち赤血球を欠きます。そのため、血液の色は通常、無色透明であり目立ちません。
しかし、赤貝は血液中に赤血球と白血球の両方を持つことから、人と同じく血液が赤い色をしているのです。白血球と赤血球の両方も持つ二枚貝は珍しく、赤貝の他に赤い血液を持つ二枚貝はタマキガイやサルボウガイなど少数が知られています。
閖上の赤貝は最高級
日本の食に欠かせない赤貝。
近年、赤貝は回転寿司チェーン店でも手軽に食べられる存在になりましたが、そのほとんどが中国や韓国から輸入品であり、国産の赤貝は依然、高級品として扱われています。
主な赤貝の産地として宮城県や愛知県、大分県、山口県などが知られており、いずれの産地の赤貝も最高級。特に仙台湾の水深20~30メートルに分布するシルト帯(砂と粘土の中間)は赤貝の好漁場であり、古くから本種を狙った貝桁網が行われています。
仙台湾の赤貝は身入り、香り、色、すべてにおいてトップクラスであり、仙台湾の名取市閖上で獲れる赤貝は全国的に有名です。
仙台湾の赤貝漁は例年9月~翌年6月まで行われます。閖上の最高級の赤貝、一度でいいから食べてみたいものですね。
(サカナト編集部)