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台湾で養殖されている交配種<竜虎ハタ> 8年がかりで日本への初出荷が実現?

現在の日本では様々な養殖魚が流通していますが、中には異なる魚を交配させた「交配種」も少数存在します。

2月上旬、初めて台湾から日本へ初出荷された「竜虎(リュウコ)ハタ」はタマカイとアカマダラハタの交配種で、肉厚な身と上品な味わいが特徴だそうです。

西鉄グループ(福岡県福岡市)は、この「竜虎ハタ」を輸入しグループの各施設で提供するなど、日本国内での流通が開始されていますが、この魚が日本へ輸入されるまでには大きな課題がありました。

竜虎ハタ

台湾で養殖されている「竜虎ハタ」(龍虎ハタとも)はハタ科の大型種である雄のタマカイ雌のアカマダラハタ(ともに養殖)の交配種で、竜のような模様が特徴です。

台湾南部の屏東(ピンドン)県では30年程前から「竜虎ハタ」の養殖を開始し、2021年における生産量は8000トン。主に中国や香港に輸出されているようです。

台湾では、このほかにもハタ類の養殖が盛んであり、台湾において大きな経済効果をもたらす魚とされています。

タマカイ(提供:PhotoAC)

タマカイとアカマダラハタはともにハタ科の魚であり、特にタマカイは近年、日本の各地で陸上養殖が試行されている魚種でもあります。

一方、アカマダラハタは「シガトキシン」によるシガテラ中毒を引き起こす可能性があることから、マダラハタやバラハタと同様に食品衛生法第6条第2号により輸入が禁止されていました。

竜虎ハタの輸入は認められていなかった

シガテラ毒を引き起こす可能性があるアカマダラハタが親系統となる「竜虎ハタ」ですが、日本の調査でこれまでにシガテラ中毒が起きてないことが分かっています。

タマカイ(提供:PhotoAC)

台湾から日本への輸出が要望されていた魚であったものの、「竜虎ハタ」の親系統となるアカマダラハタが食品衛生法第6条第2号により輸入が禁止されていることから、日本では輸入を認めていませんでした。

8年間に及ぶ交渉で輸入始まる

台湾の漁業署は2017年から大学による実験、日本の検査キットを用いた検査を開始。稚魚、成魚などすべての段階で魚にシガテラが含まれていないことを確認し、検査結果を日本へ伝えるなどの交渉を続けました。

その結果、2023年には日本の担当者による現地調査が実現。2024年10月、台湾側の8年間に及ぶ働きかけにより、ついに日本は条件付きで「竜虎ハタ」の輸入を認めたのです。

「竜虎ハタ」が毒化する可能性は低い

厚生労働省は、調査・研究の結果、養殖用水や餌など適切な管理を行った場合に「竜虎ハタ」が毒化する可能性は低いと発表。台湾の施設から日本へ輸入される「竜虎ハタ」とその加工品には、証明書類が添付されることになりました。

今年2月5日には、ついに台湾から日本へ「竜虎ハタ」が初出荷され、西鉄グループの施設にて本交配種を使用した料理が提供されました。

「竜虎ハタ」は今後も流通拡大する?

今年初めて日本へ輸入された「竜虎ハタ」ですが、今後も養殖環境の監視、品質と安全の確保をした上で、日本を含め海外販売に取り組むといいます。

日本向け商品の開発にも取り組むそうなので、この先、スーパーで「竜虎ハタ」が売られている光景を目にするかもしれませんね。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

サカナト編集部

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サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

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