名前に“イワシ”と付くのにイワシではない──そんな変わった魚の展示がアクアワールド茨城県大洗水族館で始まりました。
その名も「ソトイワシ」です。
銀色が美しいソトイワシ
ソトイワシはソトイワシ科に分類される魚です。
本種は銀色の体と長い頭部を持ち、まるで淡水魚のような見た目が特徴。主に暖かい海の沿岸部に生息し、汽水域・マングローブにも出現します。

また、英語では「ボーンフィッシュ」とも呼ばれ、スポーツフィッシングの対象にもなる魚です。小骨が多いものの、味は悪くないため食用として利用することもできます。
なお、日本産ソトイワシ科はソトイワシのほか、キスジソトイワシ、アラメソトイワシ、マルクチソトイワシの計4種が知られています。
イワシと付くのにイワシじゃない
標準和名に“イワシ”と付くソトイワシ。
イワシの仲間であろうと考えてしまいますが、ややこしいことにソトイワシはウルメイワシやカタクチイワシなどとは異なるグループに属するのです。どちらかと言うとウナギに近いとされており、ウナギ目などと同様にレプトケファルス期を経て成魚になることが知られています。
似た例としてカライワシが挙げられます。この魚も、ソトイワシ同様に名前に“イワシ”と付くにもかかわらずウナギに近い仲間で、本種もまたレプトケファルス期を経て成長します。
県内初記録のソトイワシ
そんな変わった魚である「ソトイワシ」の展示が、アクアワールド茨城県大洗水族館で展示が行われています。
展示されているソトイワシは定置網で漁獲された個体であり、茨城県日立市の漁業関係者から「見たこともない魚が捕れた」と連絡を受けたようです。

しかし、水族館職員が現場に駆け付けた際、ベテランの職員でもその場で種同定することができず、「ソトイワシ」の仲間として生きたまま水族館へと搬入されることに。当初は漁獲時の傷が多かったようですが、現在は傷が癒えてきたことに加え、エサも食べるようになったことから展示水槽へと移動されています。
また、本個体を詳しく調べた結果ではソトイワシと同定されたようです。報告されれば、この個体は茨城県における初記録のソトイワシとなります。
生きた姿はなかなか見られない
ソトイワシの展示は、アクアワールド茨城県大洗水族館の3階にある出会いの海ゾーン「大洗の生物1」水槽で展示されています。
ソトイワシは時々、捕獲される魚ですが、生きた状態で見ることはほとんどありません。水槽を泳ぐソトイワシはとても珍しいでしょう。
貴重な機会にアクアワールド茨城県大洗水族館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
詳しい情報はアクアワールド茨城県大洗水族館公式WEBサイトで確認することができます。
※2025年10月22日時点の情報です
(サカナト編集部)