魚料理の定番といえば、焼き魚と煮魚。どちらも日本の食卓には欠かせない料理ですが、調理法によって引き出される味わいや栄養、向いている魚の種類には違いがあります。
そんな2つの調理法の特徴を比較しながら、それぞれの魅力を深掘りしてみましょう。
香ばしさが魅力! 焼き魚で引き立つ魚の味
焼き魚は、皮の香ばしさやパリッとした食感が際立つ料理。脂の乗ったサンマやサバ、アジ、サケなどは、焼くことで表面がカリッと香ばしく、中はふっくらジューシーに仕上がります。
余分な脂が焼く過程で落ちるため、脂質を控えたい人にもおすすめです。
サンマの塩焼き(提供:PhotoAC)また、焼くことで水分が程よく抜け、魚のうま味成分であるイノシン酸が凝縮。その分、身が引き締まり食べごたえがアップするのもポイントです。
新鮮なイワシやサンマなどの焼き魚は、内臓ごと焼いて丸ごと食べることもできます。はらわたの苦みがほどよく、大人の味です。
ししゃものように頭も含めて骨ごと食べられる魚であれば、得られる栄養成分も多くなります。特に骨に含まれるカルシウムや、内臓に含まれるビタミンAなどを多く摂取することができます。
出汁がしみ込む煮魚の奥深い味わい
一方の煮魚は、煮汁の風味がじっくりしみ込んだ、やさしい味わいが魅力です。
タイやカレイ、サバなどは煮魚に向いていて、甘辛い味付けがごはんによく合います。身はふっくらと柔らかく、冷めてもおいしいため、作り置きやお弁当のおかずにもぴったりです。
骨まで食べられるくらい柔らかく煮れば、カルシウム補給にも一役買ってくれます。
カレイの姿煮(提供:PhotoAC)また、煮汁に溶け出した栄養を摂ることができるのも、煮魚ならではの利点です。水溶性ビタミン(B群)やミネラルを効率的に摂取できますよ。
調理時間はやや長めですが、手間をかけたぶんだけ深い味わいが楽しめます。より手軽に煮魚を楽しみたければ、圧力鍋を活用すると短い時間で本格的な料理を作ることができます。
カレイやホッケなどの煮付けは、煮汁に旨みが溶け出て、油が乗った魚でもほどよい後味になります。ご飯やお酒にも合う味付けで、焼き魚に比べると、より旨みや魚の出汁を感じられる料理と言えます。
調理法で変わる栄養や食べ方の工夫
ふたつの調理法を比較すると、焼き魚は余分な脂が落ちるため、カロリーを抑えたいときに向いています。皮ごと食べることでDHAやEPAなどの脂肪酸を効率よく摂れるというメリットもありますので、子ども向けの料理にもおすすめです。
煮魚は、煮汁の工夫次第で野菜と一緒に煮たり、味のバリエーションを楽しめたりと応用がききます。骨ごと食べられる魚を選べば、栄養バランスもさらにアップしますので、お好みの組み合わせを試してみてください。
魚や魚介類をメインにした鍋もおすすめ
煮魚とは少し変わってしまうかもしれませんが、魚や魚介類をメインにした鍋もお出汁を楽しむことができるのでおすすめです。しょうゆベース以外にも、お酒と塩であっさりとした味付けや、トマトベースでイタリアン風にもアレンジできます。
焼き魚と煮魚、どちらの調理法にもそれぞれの魅力があり、魚の種類や季節、体調に合わせて使い分けることで、毎日の食卓がもっと豊かになります。好みに合わせた調理法で、魚のおいしさをじっくり味わってみてください。
(サカナトライター:せんば千波)