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しじみの栄養を賢く摂るカギは<冷凍>と<食塩水> 自宅で最強スープ“しじみ汁”を作る工夫とは?

「しじみ汁」といえば、お酒を飲んだ翌朝の定番。二日酔いの体に染み渡るあの温かい味──もちろん味だけでなく、「しじみ◯◯個分」が売り文句として定番になっているほど、その栄養価も高いのが特徴です。

実は最新の研究で、“あること”をすることによって、しじみの栄養価が爆発的に高まることが分かっています。

その“あること”とは「冷凍」です。

しじみは「生のまま調理するのが一番」と思っていませんか? もはや「冷凍は調理工程のひとつ」と言っても過言ではありません。忙しい毎日の中で、賢くしじみの力を借りるための秘訣をご紹介します。

しじみが「肝臓にいい」と言われる理由

しじみが「肝臓にいい」とされる最大の理由は、アミノ酸の一種である「オルニチン」が豊富だからです。

肝臓は24時間フル活動で代謝や解毒を担っていますが、オルニチンは「肝臓内のオルニチンサイクルという代謝経路を活性化させることで、アンモニアの解毒を促進する」という頼もしい働きをしてくれます。

しじみ(提供:PhotoAC)

実際に行われた試験では、肝機能の指標となる数値を測定したところ、「γ-GTP、AST、ALTがいずれも正常値に低下した」(シジミの冷凍処理によるエキス成分の変化 ─高付加価値化に向けた公設試の試み─)という結果も報告されています。

炎症を起こしたり、病気になったりしても自覚症状がほとんど出ない「沈黙の臓器」である肝臓を支える心強い味方なのです。

しじみは冷凍することで<肝機能の働きを助ける作用>が増加

そんなしじみは、なんと冷凍処理を施すことでオルニチンが大幅に増えます

研究によれば、特定の条件で冷凍したしじみは、「オルニチン含量が通常の約8倍に跳ね上がる」ことが明らかになりました。

冷凍しじみ(提供:PhotoAC)

この不思議な現象は、しじみ特有の「新規トリペプチド、アコルビン(acorbine)が冷凍によって分解され、オルニチンが生成される」という仕組みによるものです。

さらに、効率よく増やす秘訣は温度にあり、-4℃で20時間処理した時にオルニチン含量は最大化するのだとか。

家庭の冷凍庫では微調整が難しいかもしれませんが、急激に冷やすよりも少し時間をかけてじっくり凍らせるのが、パワーアップの鍵となります。

しじみの栄養を有効活用するには「しじみ汁が最適」

せっかく増えた栄養を余さず摂るなら、やっぱり「しじみ汁」が一番です。

オルニチンは水に溶け出しやすいため、汁ごと頂くことでその恩恵を丸ごと受けられます。 そして、調理前のひと工夫でさらに効果を高めることができます。

しじみ汁(提供:PhotoAC)

日本食品科学工学会誌に掲載された論文「シジミの冷凍処理によるエキス成分の変化 ─高付加価値化に向けた公設試の試み─」では、3%の食塩水に3時間浸漬してから冷凍することで、オルニチン含量をより効果的に高められる、とされています。

これは、汽水域という過酷な環境に住むしじみが、塩分濃度の変化に対応しようとする生体反応のひとつと考えられています。

賢く工夫してしじみの力を有効活用しよう!

しじみを冷凍することは、単なる保存術を超えた「栄養を最大化させるための知恵」でした。

「3%の塩水で砂抜きをして、冷凍庫へ」この手軽なステップで、いつもの一杯が何倍にも健康をサポートしてくれる最強のスープに変わります。

お仕事で少し疲れを感じたとき、今晩のメニューにしじみ汁を加えてみてはいかがでしょうか。

(サカナトライター:nasu阿部)

参考文献

シジミの冷凍処理によるエキス成分の変化 ─高付加価値化に向けた公設試の試み─

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nasu阿部

趣味で日本国内の旅行に行くことが好きです。 旅行の先々で水族館に行くことで徐々に海の世界に対して魅力を感じるようになりました。 日本の水族館には、そこにしかにない魅力に溢れていて生き物の魅力を最大限に見せてくれます。 そこで得た魅力を伝えることでこの思いが受け継がれえることで海の生き物が生きやすい環境を守れればと考えております。

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