鳥取県境港市の水産加工メーカー「海産物のきむらや」は冬の制服として、使用済み漁網由来の再生ポリエステルを使ったテーラードジャケットを導入しました。
10月6日から着用を開始しており、漁網の資源循環を通じて、主力商品のもずくを育む産地の海の環境保全にもつなげるとしています。
導入したテーラードジャケット(提供:株式会社カイタックトレーディング)もずくの産地と関わり続けて45年以上
海産物のきむらやは、味付もずくを主力商品とする水産加工メーカー。主要原料のもずくは主に沖縄県伊平屋島から仕入れており、産地との関係は45年以上にわたるといいます。
同社では、原料の調達だけでなく、産地の自然環境を守る活動も実施。生活協同組合などとともに対象商品の売上の一部を基金として積み立て、海岸に漂着したごみの運搬・処理や赤土流出の防止、ウミガメの産卵場所となる砂浜の保全などに活用しています。
また、取引先や消費者とともに産地でビーチクリーンなども実施しており、活動を通じて漁具を含む海洋プラスチックごみの問題にも向き合っているそうです。
MEL認証も取得
伊平屋村漁業協同組合のもずく養殖は、2025年5月に沖縄県内のもずく養殖業として初めて水産エコラベル「MEL(マリン・エコラベル・ジャパン)」の養殖認証を取得。海産物のきむらやも同月にMEL CoC(加工流通段階)認証を取得しており、認証を受けたもずくを使った一部商品にMELロゴマークを表示しています。
こうした産地との関わりの中で、今回新たに取り入れられたのが、使用済み漁網を再生した素材を使った制服だといいます。
使用済み漁網を再生したジャケットを冬の制服に
今回採用されたのは、使用済みポリエステル製漁網由来の再生原料を使ったテーラードジャケットと、セットとなるパンツ・スカート。生地には使用済み漁網リサイクルポリエステルが13%使用されており、素材としてエコマーク164の認定を取得しています。
制服のデザインは、同社がこれまで食品会社として清潔感や誠実さを重視してきたことから、カジュアルな衣料ではなくテーラードジャケットを選択したそうです。
使用済み漁網をアップサイクル(提供:株式会社カイタックトレーディング)この再生原料は、もずく養殖網ではなく、主にまき網漁業で使用されたポリエステル製漁網を回収して再生したもので、海岸などに漂着した漁網を原料としているわけではありません。
漁網をめぐる環境課題への対応
もずく養殖では、種付けをした網を海に張って育成するため、漁網は欠かせない資材です。一方で、劣化した漁具などが適切に処理されなければ、海洋プラスチック問題につながる可能性があります。
今回の制服に使用される再生原料ともずく養殖網は直接つながってはいませんが、使用済み漁網を廃棄せず、衣料品の原料として循環させる取り組みには、漁網をめぐる環境課題への対応という共通点があるとしています。
漁網から制服、そして再び資源へ
今回の取り組みでは、制服として着用する段階だけでなく、役目を終えた後の資源循環も想定されているそうです。
カイタックグループでは、衣料品の回収・再資源化を行うリサイクルスキーム「MUDA ZERO」を展開。将来的には同スキームによって制服を回収し、再資源化することが計画されています。
漁網を再生した素材で制服をつくり、着用後には再び資源として回収することで、漁網から衣料、衣料から再生資源へとつなげる循環が目指されています。
(サカナト編集部)