ほとんどの魚は鱗を持っていますが、種類によって大きさや硬さなどに違いが現れます。
この記事では、魚の鱗の種類について、それらの鱗を有する魚種と共に紹介していきます。
「櫛鱗」は現生魚類のなかで最も多い鱗
櫛鱗(しつりん)は、現生魚類のなかで最も多くみられる鱗。櫛鱗は露出している部分の後方に小さな棘を持っており、ギザギザしていることが特徴です。
スズキやマダイなどがこの鱗を備えています。
丸いかたちの「円鱗」
円鱗は櫛鱗とほとんど同じ形ですが、棘がなく丸まっています。
櫛鱗と円鱗はコラーゲン櫛の繊維薄板が多数重なった表面を骨質層が覆ったもので、屋根瓦上に配列しています。鱗の表面を触るとつるつるとしています。サンマやイワシ、フナやサケ・マスなどがこの円鱗を備えています。
「稜鱗」はアジのぜいご
稜鱗(りょうりん)とは、イワシ類の腹縁や、アジ類の体側にある、鋭い棘を持った大きな鱗です。稜鱗がある部分は、表面に鋭い稜線ができます。
アジの体後方にあるぜいごは、この稜鱗によって成り立っているのですね。
サメやエイのもつ「楯鱗」
楯鱗(じゅんりん)はサメ・エイ類など軟骨魚類に特有の鱗です。
構造は歯に似ており、真皮から突出した象牙質をエナメル質が覆っています。サメに特有のザラザラした「鮫肌」はこの楯鱗でできています。この鱗は鎧のように体を守る役割を果たしています。
また、この鱗は逆立ったりすることで、泳ぎの方向や速さなどのコントロールにも役立っています。
古代魚の特徴「硬鱗」
硬鱗は、初期の硬骨魚類にみられる鱗の特徴です。
コズミン鱗とガイノン鱗が含まれています。コズミン鱗を持つ代表的な現生種には、シーラカンスがいます。一方ガイノン鱗を持つ現生種にはガーやチョウザメがいます。
鱗の表面は光沢のあるエナメル質できており頑丈で、捕食者からの攻撃を耐えるように進化したのだとか。鱗1枚1枚が目立ちますが、それぞれは分離しているわけでなく丈夫な靭帯様の組織で繋がっています。
(参考:分類学講座-標本資料センター)
鱗がない魚も多い
多くの魚に鱗がありますが、なかにはナマズやアンコウ、マンボウやタチウオなど、鱗がない魚もいます。
鱗を持たない魚は別の方法で体を保護していることが多いです。ナマズやアンコウ、マンボウはぬめぬめとした粘液で体を覆うことで体を守っており、タチウオは銀色のグアニン層で覆われており、このグアニン層により体を保護しています。
この記事では、魚の鱗の分類や、分類ごとの細かい特徴について紹介しました。普段はあまり気にならない鱗の存在ですが、改めてフォーカスしてみると細かい気付きを得ることができます。
(サカナト編集部)