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食べても美味しい「ハダカイワシ」の魅力 小さい体で生態系を支える?

ハダカイワシと呼ばれる魚は深海で繁栄する小魚の総称。一見、取るに足らない魚のようですが、実は多くのポテンシャルを秘めた魚なのです。

この記事ではハダカイワシについてご紹介します。

ハダカイワシとは

ハダカイワシはハダカイワシ目ハダカイワシ科に属する魚の1種または本科に属する魚の総称です。ハダカイワシ目にはハダカイワシ科の他にソトオリイワシ科の2グループが含まれます。

2024年5月現在、日本から記録されているハダカイワシ科は97種。この中にはまだ標準和名が付いていない種も含まれているようです。ハダカイワシとオオクチイワシを除くすべての種の標準和名が○○ハダカと命名されています。

ハダカイワシ属の魚(提供:PhotoAC)

ハダカイワシ科の特徴はなんといっても腹部や頭部にある発光器です。これは仲間とのコミュニケーションやカウンターイルミネーションと呼ばれる擬態に使われていると考えらえています。

さらにハダカイワシ科の魚の多くは昼夜で深場と浅場を移動する日周鉛直移動を行うことが知られており、昼間は深海に生息し、夜間になると浅場へ移動するのです。種によってはごく浅い場所にも出現し、時に海岸へ打ち上げられることも少なくありません。

また、多くの海洋生物がハダカイワシ科の魚を餌として利用していることから、生態系の中で非常に重要な役割を担っていることも知られています。

イワシと付くがイワシではない

ハダカイワシ科は名前にイワシと付くことに加え、プロポーションがイワシに似ることからしばしばイワシの仲間と勘違いされますが、ウルメイワシやカタクチイワシ、マイワシが属するニシン目とは異なるため、イワシの仲間とは言えないでしょう。

プロポーションが似るものの、よく見ると形態が異なります。また、ハダカイワシ目魚類の多くでは脂鰭を持つことや発光器を持つことが特徴ですが、これらの特徴はニシン目では見られません。

深海にはハダカイワシソトオリイワシのように語尾にイワシと付く魚がたくさんいますが、いずれもニシン目ではないため注意する必要があります。

食用としてのハダカイワシ

そんなハダカイワシですが、資源量が多く時に底引き網や定置網、サクラエビ漁で漁獲されることがあるため、産地では食用として流通することも珍しくありません。

ハダカイワシ科の魚たちはほとんどが小型種であり、ハダカイワシメハダカスイトウハダカなどの中型種を除けば、体長は数センチ程度。しかし、ハダカイワシはハダカイワシ科の中でも大きくなることから、比較的食用になりやすい魚です。

鮮度が良ければ刺身で食べることもできますが、足が早いため干物で食べられることがほとんどでしょう。産地ではヤケドストリップなど変わった別名で呼ばれています。

ハダカイワシの干物(提供:PhotoAC)

ハダカイワシ科の魚は旨味が強く脂が豊富なことが特徴で、一度食べれば病みつきになること間違いありません。ただし、ハダカイワシの脂は食べすぎるとお腹を壊してしまうという話もあるので、食べすぎには注意したほうがよいかもしれませんね。

サクラエビの混獲物

センハダカというハダカイワシ科は小型でありながら一部の地域で食用になる魚です。

本種は定置網、底引き網、サクラエビ漁など様々な漁法で見られ、特にサクラエビ漁で多獲される深海魚です。由比ではイワハダカをシロンボと呼ぶのに対してセンハダカやアラハダカな体色が黒いハダカイワシ科の魚をクロンボと呼んでおり(ハダカイワシ(その2)-静岡県自然史博物館ネットワーク)、由比の飲食店ではサクラエビと同様にかき揚げで食べられています。

他にも、過去には東海大学海洋学部水産学科食品科学が行ったプロジェクトでセンハダカを使った魚醤が開発されました(「水産物を活用した産業活性化事業発表会」にてセンハダカの魚醤油が紹介されました-東海大学)。

ハダカイワシ科の魚は雑魚として扱われることが多い魚ですが、味が良いことはあまりしられていません。また、多くの海洋生物の餌として非常に重要な役割を担っている生物でもあるのです。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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