突然ですが、ウナギの刺身がないのって不思議だと思いませんか?
魚食大国の日本ではウナギも刺身も大好きな人がたくさんいるのになぜ「ウナギの刺身」が存在しないのでしょうか。この記事ではウナギが刺身で食べられていない理由を解説します。
ウナギの刺身がないのは毒があるから?
結論から言うと、ウナギが刺身で食べられていない理由は血液に毒があるためです。
この毒はウナギだけではなくアナゴやウツボ等のウナギ目の血液に存在すると言われており、ウナギの血液を大量に摂取すると嘔吐や麻痺、呼吸困難などの症状が現れ、最悪の場合は死に至ると言われています。
しかし、日本国内での中毒例の正式記録はなく、ウナギの血液の致死量は体重60キロの人で1リットルと見積もられています。また、この毒はたんぱく毒であるため加熱による無毒化が可能で、60度・5分の加熱で不活性化するとされています。そのため、蒲焼などで食べる分には問題がないということです。
なお、この毒に和名はありませんが、ラテン語ではIchthyohemotoxin(ichthyo=魚類、hemo=血液、toxin=毒)と呼ばれている他、英語ではFish serum toxinと呼ばれています。
ウナギの血液は傷口に入ると危険?
一般的に流通しているウナギは加熱調理されたものがほとんどであることや、ウナギの血液を飲むといったことがほとんどないため、普通の生活をしていればウナギの血液による中毒に見舞われることはないとされています。
しかし、ウナギの血液は目や口、傷口などに入ると炎症を起こすことが調理人の中では知られており、摂取せずとも扱いに注意する必要があるといえます。
ウナギの刺身が食べられるお店がある
血液に毒を持つウナギですが、絶対に生で食べられないという訳ではありません。
ウナギの産地として有名な静岡県の浜名湖はウナギ養殖発祥の地でもあり、周辺には浜名湖の海の幸を使った飲食店が多数あります。中でも、浜松市にある魚料理専門店「魚魚一(とといち)」では浜名湖ならではの海鮮料理、「ウナギの刺身」が食べられるお店として有名です。
伝統的な職人技で血抜きされたウナギは安心して刺身で食べることができます。同店はウナギの刺身が食べられるお店としてたびたび話題になり、全国からこの味を求めてお客さんが来るそうです。
また、お店ではもちろんのこと、ウナギの刺身は通信販売も行っており、家でも浜名湖の海の幸を楽しむことができます。
他にもアナゴの刺身が食べられる地域やウツボをたたきでたべる所もあるようです。ウナギを刺身で食べるイメージはなかなかないかもしれませんが、一部の地域では根付いている料理なので、機会があれば挑戦してみたいですね。
(サカナト編集部)