初夏はキス(シロギス)釣りが楽しい季節。しかし、狙いのキスがなかなか釣れず、クサフグなどのエサ取り(本命の魚が釣れる前にエサだけを食べてしまう魚)に手を焼くことも多いです。
今年4月下旬の筆者の釣行も、まさにそのクサフグたちに悩まされた一日でした。
なぜエサ取りが多くなるのか、その原因も考察しながら、キス釣り攻略のヒントをお伝えします。
初夏のターゲットの定番「シロギス」
シロギスはスズキ目キス科の海水魚。一般的には「キス」と呼ばれることが多いです。
日本のほぼ全域に生息し、中国や朝鮮半島、フィリピンにも分布します。
キス(提供:PhotoAC)砂泥底を好み、高水温期は浅瀬に、低水温期は深場に移動する習性があります。スマートな姿のため、「海の女王」や「海の貴婦人」とも称される美しい魚です。
江戸時代から庶民に愛される大衆魚で、天ぷらや刺身、焼き物にして食べると大変美味。初夏の砂浜での投げ釣りは全国的に行われており、釣り大会も開かれるほど人気の魚です。
投げ釣り(撮影:額田善之)キスは漢字で「鱚」と書きますが、実はこれは漢字ではなく日本でつくられた「国字」。国字とは、本来中国から伝来した漢字ではなく、和製漢字(和字)です。
国字は対象物の様子を漢字で表したもので、特に魚へんの漢字が多いそう。「鰯(イワシ)」や「鮗(コノシロ)」、「鱈(タラ)」、「鰰(ハタハタ)」など多数あり、日本人の魚愛が伺えますね。
ちなみに、「凪」「枠」「峠」なども国字です。
“外道”とも呼ばれる<クサフグ>
クサフグはフグ目フグ科トラフグ属の魚です。
海や汽水域に生息している周縁性淡水魚に分類され、川をある程度遡上することもあります。
クサフグ(撮影:額田善之)日本の太平洋岸、瀬戸内海などに生息し、中国や朝鮮半島などにも分布。水深50mよりも浅い砂礫底や岩礁、藻場などに生息しています。
トラフグと同様にテトロドトキシンという猛毒を有しており、卵巣や精巣、肝臓、腸は猛毒、皮膚は強毒であり、基本的には食べられない魚です。フグの調理師免許を持たない人は、絶対にさばいたり、食べたりしないようにしてください。
大きくて可食部の多いトラフグなどは山口県下関市といった地域で「福(ふく)」とも呼ばれますが、可食部の少ないクサフグはターゲットではない魚という意味で“外道”と呼ばれることもあります。
クサフグ(撮影:額田善之)ただ、怒った姿は特にキュートで愛らしいですよ。
キス釣りのはずがクサフグ釣りに……
4月下旬のこと。キスが釣れ始めたとの情報を得て、子どもと一緒に海水浴場へキス釣りに出かけました。
いつものように、投げてゆっくり仕掛けを巻き取る「引き釣り」をしていると、ブルっとした当たり……。しかし、釣り上げると、かかっているのはクサフグばかり。
周りのファミリーフィッシングの方々も同じ状況で、クサフグ以外はほとんど釣れていないようでした。
フグしか釣れなかった理由を考察
クサフグは、キス釣りのシーズンである初夏になると、繁殖のため浅瀬に集まってくる習性があります。
特に5月の大潮にフグが大群で波打ち際に集まり産卵するため、5〜7月頃の砂浜はフグのオンパレードになりやすいのでしょう。
また、フグは雑食性。釣りエサをなんでも食べてしまうため、外道となりやすいのも理由のひとつです。
いい型のクサフグ(撮影:額田善之)今年は4月下旬から高水温が続いていたので、フグが集まりやすかったとも考えられます。
クサフグはヒレが小さくとても泳ぎが下手なので、クサフグが追いつけず、キスが追いつける速度で引き釣りをするのが基本ですが、藻が多すぎて速度が出せなかったのも大きな原因でしょう。
状況を見ながら、潔く釣り場を変えれば事態は好転したかもしれません。
クサフグの歯よる被害
クサフグは鋭い歯を持ち、歯をすり合わせてグーグーと鳴きます。
針がかりすると、仕掛けだけでなく、針さえも切断することがあり、3本針仕掛けが15分足らずで使えなくなることもしばしば……。コスト面での被害も精神的なダメージに繋がり、釣り人からは嫌われます。
クサフグは鋭い歯で仕掛けを噛みちぎる(撮影:額田善之)場所を選ばないと、クサフグの猛攻で疲弊するので、注意が必要です。また、タイミングによっては、エリア全体でクサフグばかりが釣れる……なんていうことも多いでしょう。
そんなときは、諦めて別の日に出直すのがいいかもしれません。
キス釣りを楽しもう!
キス釣りにはクサフグによる被害が伴います。そのため、釣り場選びが大切ですが、遠投できれば浅場に生息するクサフグを避け、少し深場にいる大物のキスを釣ることも可能です。
遠投しやすい竿やリールを選び、遠投技術を高めることができればキスを狙い撃ちにできます。
しかし、ファミリーフィッシングでは体力や上背のない子どもと一緒に釣るため、釣り場選びが一番の解決策になるでしょう。
事前の情報収集や準備が少し大変なキス釣りですが、キスは引きもよく、楽しい釣りができます。しかも食べても美味しい。
キス釣りにぜひチャレンジしてみてみましょう。筆者もリベンジする予定です。
(サカナトライター:額田善之)