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<河川のマイクロプラスチック濃度>統一的に評価する新手法を開発 未計測サイズも高精度で推定可能に

現在社会的な問題として注目されているマイクロプラスチックは、海や河川、大気、地下水などさまざまな環境で検出されています。河川においては、発生源の特定や汚染の実態把握を目的とした調査が数多く行われてきましたが、特に細かいマイクロプラスチックを観察・分析するための標準的な手法は確立されておらず、マイクロプラスチックの粒子数や質量の濃度とサイズ分布の関係について十分な理解が得られていませんでした。

【画像】《マイクロプラスチックの新たな発生源》として確認された“貝”?

そうした中、東京理科大学大学院・創域理工学研究科社会基盤工学専攻水理研究室の江越弘太氏、同大学創域理工学部社会基盤工学科の田中衛助教、二瓶泰雄教授らの研究グループは、河川中に存在するマイクロプラスチックの濃度を、粒子サイズの違いを超えて統一的に評価する手法を開発したと発表しました。

限られたサイズ範囲の観測データから、測定していないサイズのマイクロプラスチック濃度まで高精度に推定できることを実証したもので、研究ごとに異なっていた調査条件を補完しながら、環境汚染の実態把握を進める技術として期待されています。

本研究成果は、国際学術誌「Environmental Pollution」に掲載されました(論文タイトル:Power-law size spectra of microplastic number and mass concentration in river water)。

研究ごとに異なっていた調査手法が課題に

マイクロプラスチックは、プラスチックごみが細かく砕かれて生じる微小な粒子です。海洋や河川、大気中だけでなく、水道水や人体からも検出されており、世界的な環境問題として注目されています。

一方で、マイクロプラスチックの調査には課題もありました。粒子の大きさによって採取方法や分析手法が異なるため、研究によって対象とするサイズ範囲にばらつきが生じていたのです。

マイクロプラスチックはこれよりも細かく調査が難しい(提供:PhotoAC)

特に小さな粒子は採取や分析が難しく、異なる研究結果を直接比較することが困難でした。

また、生物への影響は粒子の大きさによって変化することが知られているため、幅広いサイズのマイクロプラスチックを統一的に評価する手法の確立が求められていました。

鶴見川で幅広いサイズの粒子を調査

研究グループは、東京都町田市から神奈川県を流れ横浜市で東京湾へと注ぐ「鶴見川」を対象に調査を実施。

調査では、1〜200マイクロメートルの小型粒子、200〜700マイクロメートルの中型粒子、700〜5000マイクロメートルの大型粒子の3区分に分け、それぞれに適した方法で採取・分析を行ったといいます。

鶴見川(提供:PhotoAC)

その結果、粒子数の濃度と質量の濃度の両方について、サイズが小さくなるほど濃度が高くなる傾向を確認。さらに、それらの分布が「べき乗則」と呼ばれる数学的な法則で表現できることが明らかになりました。

べき乗則とは、ある量の増減が一定の規則に従って変化する現象を説明するモデルで、自然界のさまざまな現象で見られます。

本研究の概要図(提供:学校法人東京理科大学)

今回の研究では、マイクロプラスチックのサイズ分布にもこの法則が当てはまることが統計的に確認されました。

未計測サイズの濃度推定にも成功

研究ではさらに、このべき乗則を活用することで、一部のサイズ範囲しか測定していない場合でも、未計測のサイズを含めた全体のマイクロプラスチック質量濃度を推定できるか検証しました。

その結果、限られた観測データからでも全体の濃度を実用的な精度で推定できることが確認されました。特に大型粒子側のデータを活用した場合には、推定誤差を約20%程度に抑えられるケースも見られたといいます。

これまでマイクロプラスチック研究では、調査対象となるサイズ範囲の違いが研究間比較を難しくしていましたが、今回の手法により、異なる条件で取得されたデータを共通の尺度で評価できる可能性が示されました。

研究グループは、この手法によって既存の調査データを横断的に活用しやすくなり、河川におけるマイクロプラスチック汚染の実態をより包括的に把握できるようになるとしています。将来的には、マイクロプラスチック調査の標準化や汚染状況の定量的な評価にもつながることが期待されます。

(サカナト編集部)

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