特定外来生物に指定されている北米原産の淡水魚「コクチバス」。
本種は強い魚食性を示す一方、環境によって甲殻類や昆虫なども餌として利用することがわかっています。
こうした外来上位捕食者における食性の柔軟性は、侵入水域での定着を促進されるという研究もあるようです。
そうした中で、富山大学、群馬県水産試験場、長野県諏訪湖環境研究センターの研究グループは、魚類の餌資源が乏しい桂湖において、コクチバスがどのような食性・成長率を示すのか調査を行いました。
この研究の成果は「Global Ecology and Conservation」に掲載されています(論文タイトル:No Fish No Problem: Diet plasticity as an invasion driver in Japanese smallmouth bass)。
魚食性が強いコクチバス
コクチバス Micropterus dolomieu は北米原産の淡水魚で、日本では特定外来生物に指定。在来生態系への悪影響が懸念されています。
本種の主な餌は魚類であり、強い魚食性を示す一方、環境によって魚以外にも昆虫や甲殻類など、様々な動物を餌として利用していることが知られてきました。
コクチバス(提供:PhotoAC)また、こうした外来上位捕食者における食性の柔軟性は、定着を促進させるという研究も存在します。
餌としての魚資源に乏しい桂湖
1993年に竣工した境川ダムの建設で、形成された富山県の桂湖(かつらこ)。この湖ではダムの建設後、イワナやカジカが生息し、コイやニジマスが放流されました。
しかし、2000年代からコクチバスが定着。現在の桂湖では、コクチバスとコイ以外の魚は非常に少ないといいます。
このような、餌としての魚資源が少ない環境において、コクチバスはどのような食性を示すのか。今回、研究グループは、2024~2025年にかけて桂湖のコクチバスを対象に食性を分析しました。
さらに、耳石から推定した年齢に基づき成長モデルの解析も行われており、桂湖におけるコクチバスの成長率も調査されています。
コクチバスの柔軟な食性が示される
食性解析の用いられたコクチバスは2024年で251個体、2025年で194個体の合計445個体。このうち魚の捕食が確認されているのは僅か4個体のみという結果になっています。
加えて、DNA解析により捕食された魚を同定したところ、すべてコクチバスであることも判明したのです。
どちらの年とも最も多く餌利用されていた動物はスジエビで、その次にトンボの成虫やアリ、カメムシなど陸生無脊椎動物が確認されています。なお、コクチバスの体長の増加に伴い、陸生無脊椎動物の利用割合は増加してたようです。
53個体を対象に行った年齢推定では、北米の成長モデルと比較し、桂湖のコクチバスは成長が遅く小型であることもわかっています。
柔軟性の高い食性がリスクに
今回の研究によって、富山県桂湖におけるコクチバスの食性と成長率が明らかになりました。
この成果は魚食性が強いコクチバスが魚の少ない環境でも成長し増加できること、本種の柔軟性の高い食性が防除のリスクになることを示しています。
研究グループは今後、河川を利用するコクチバスの食性や分布拡大のプロセスを調べていくとのことです。
(サカナト編集部)