日本獣医生命科学大学と台湾の国立中興大学の共同研究グループが、市販のサンマから新種の寄生虫を発見しました。
サンマの肝臓に寄生する単細胞生物を形態と遺伝子の両面から分析した結果、Goussia属の新種であることを確認。ミトコンドリアゲノムの解析から、魚類に寄生するコクシジウムの進化についても新たな知見が示されています。
研究成果は、2026年8月12日付で国際原生生物学会の学術誌『Journal of Eukaryotic Microbiology』に掲載されました。(論文タイトル:Polyphyly and Deep Evolutionary History of Piscine Coccidia: Mitochondrial Genomics of a New Goussia Species from Pacific Saury (Cololabis saira))
21尾中19尾のサンマから寄生虫を検出
研究グループが調査したサンマ21尾のうち19尾の肝臓から、直径約20マイクロメートルの極めて小さな寄生虫が検出されました。
形態を観察したところ、アピコンプレックス門・アイメリア亜目に属するGoussia属の特徴が確認されました。
サンマとGoussia属(提供:日本獣医生命科学大学)さらに、ナノポアシーケンサーを用いてゲノムを解析し、海産魚に寄生するGoussia属として初めて完全なミトコンドリアゲノムの解読に成功しています。
形態的な特徴と遺伝情報を組み合わせて分析した結果、今回の寄生虫はこれまで知られていない新種として記載されました。
Goussia属は複数の系統から構成される可能性
研究では、ミトコンドリアDNAなどの遺伝情報を用いた系統解析も行われました。
その結果、従来は同じグループとして扱われてきたGoussia属が、実際には複数の異なる系統から構成されていることが明らかになりました。
また、分子時計解析によって進化の年代を推定したところ、海水魚に寄生するグループと淡水魚に寄生するグループは、約2億年前に分岐した可能性が示されました。
今回の研究成果は、魚類に寄生するコクシジウムの分類や進化の歴史を見直すうえで重要な知見となっています。
人への感染は確認なし 今後の研究に期待
Goussia属と宿主となる魚類との関係や、寄生による魚の健康への影響については、まだ明らかになっていない点が多く残されています。
今後は、生態や病気との関係を含めた研究が進められることで、魚類寄生性コクシジウムの実態がさらに解明されるとみられます。
なお、今回の新種を含む魚類寄生性のGoussia属については、これまで人や家畜への感染性は報告されておらず、人への健康影響も知られていません。
(サカナト編集部)