特定非営利活動法人海の自然史研究所は今年6月、アラムコ・アジア・ジャパンの支援を受け、沖縄県のサンゴ礁保全に取り組むプロジェクト「アラムコ・コーラルリンク沖縄」を開始しました。
海中ごみの調査・回収や久米島でのサンゴ養殖・移植支援、市民参加型の調査などを通じ、科学的な知見と地域の保全活動を結び付ける取り組みです。
科学と地域をつなぐ保全の仕組み
沖縄のサンゴ礁は、気候変動の影響に加え、海中ごみなど複数の環境要因にさらされています。
各地でサンゴの養殖や移植が進められる一方、活動の効果を把握し、継続的な保全へつなげることが課題となっています。
同プロジェクトは、調査研究の成果を現場の保全活動に反映し、その活動を科学的に評価する循環を構築するものです。
「アラムコ・コーラルリンク沖縄プロジェクト」の概念図(提供:特定非営利活動法人海の自然史研究所)研究者、地域団体、市民などが関わることで、沖縄の海洋環境に根ざした保全モデルの形成を目指しています。
海中ごみの影響を調査 回収活動も実施
事業の一つとして、沖縄県内のサンゴ礁海域で海中ごみの種類、分布、劣化状況を調査。海中に沈んだプラスチックごみは、破損や劣化、付着生物との相互作用を通じ、生態系へ影響を与える可能性がありますが、その実態には未解明の部分も残されています。
海洋生物への影響やごみに含まれる化学物質との関係も分析するほか、漁業者やダイビングサービス事業者など地域の関係者と連携し、海岸漂着ごみより回収が難しいとされる海中ごみの回収に取り組みます。
サンゴ礁海域で回収した海中ごみを水面へ運搬する様子(提供:特定非営利活動法人海の自然史研究所)久米島のサンゴ再生と市民参加を後押し
久米島では、久米島漁業協同組合が行うサンゴ養殖・移植活動を支援します。
養殖したサンゴ苗の移植を進めるとともに、移植後の生育状況や生残率を継続的に調査し、より効果的な手法の検討に生かします。
久米島漁業協同組合が養殖するサンゴ(提供:特定非営利活動法人海の自然史研究所)また、研究者や市民、ダイバー、地域団体が調査や保全活動に関われる市民科学も推進。海の自然史研究所は、調査結果を地域と共有しながら、海洋環境への理解を深める機会や地域内の連携を育むことにつなげる方針です。
研究と実践、市民参加を組み合わせた同プロジェクトは、沖縄のサンゴ礁を長期的に保全するための取り組みとして進められます。
(サカナト編集部)