華やかな見た目のモンハナシャコ。とても綺麗な生き物ですが、見た目によらず物理攻撃の天才です!
ターコイズブルーの殻、虹色の尻尾や美しい瞳に見惚れていたら、一発KO間違いなしです。そんなモンハナシャコの生態やパンチの秘密について紹介します。
華やかな見た目のモンハナシャコ
モンハナシャコはシャコ目ハナシャコ科ハナシャコ属に属する甲殻類です。シャコは肉食で、モンハナシャコは主にセミエビ、二枚貝などの硬い殻を持つ生物を好んで捕食しています。
シャコの仲間には捕脚と呼ばれる足があります。捕脚の形はやりのように獲物をつきさすタイプ(スピアラー型)と、パンチするタイプ(スマッシャー型)があり、モンハナシャコはスマッシャー型です。
モンハナシャコは捕脚で貝やカニなどの獲物にパンチをくり出します。そのパンチはとても強く、速いです。どれくらい速いかというと、0.003秒という目にも見えない速さで、200㎏ほどの力を出すこともあるといわれています(【京都大学白浜水族館だより】貝やカニの、かたいからをくだくパンチ「モンハナシャコ」-エコチル)。
高速パンチを出して捕食できるワケ 弓矢と同じ原理?
モンハナシャコ最大の特徴は高速パンチです。
高速パンチを繰り出す時には、まず捕脚の先端の節を2番目の節に密着させ、長節の筋肉を縮めてフックをかけた状態にします。このとき長節は大きく変形します。フックを外すと、先端の2つの節が前方に打ち出されます。
モンハナシャコのパンチは、外骨格に溜めた弾性エネルギーで打ち出しているのです。これは弓矢と同じ原理だそうです。
さらに、モンハナシャコは捕脚パンチのスピードがあまりに速いため、キャビテーションが起こります。キャビテーションとは、液体の圧力が急激に下がって、冷たいまま沸騰する現象です。捕脚が水中を高速で動くと、前方で水圧が上がり、後方や側面では水圧が下がり、これによって水は温度が低いまま沸騰し、水蒸気の泡が発生します。
その泡が弾けるときの衝撃があまりに高速で、泡が弾けるエネルギーで発光することがあるらしく、温度は6000度に達するともいわれます。
水槽を破壊したりする
モンハナシャコの水族展示ではたびたび、水槽を破壊することがあるそう。
大阪にある水族館、ニフレルのキュレーターブログにはシャコがパンチで種名板を壊してしまったときの様子が書かれています(やりおったな!!|-ニフレル)。
パンチの強力さから、凶暴な生き物なのかな?と思ってしまいますが、実はモンハナシャコは臆病な性格。繁殖や捕食の時以外はめったに巣穴の外に出ません。
高速パンチの話を聞くと凶暴なようですが、驚いてうっかりパンチを繰り出してしまうこともあるようです。
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