成魚と幼魚で色彩が異なるスズメダイ科魚類
この項では、成魚と幼魚で色彩が異なるスズメダイ科魚類を紹介します。
ヒレナガスズメダイ Neoglyphidodon nigroris
ヒレナガスズメダイはかつて「ばたびあすずめだい」と呼ばれたほか、幼魚はかつて「ふたおびすずめだい」という別名で呼ばれていたこともあります。幼魚は全身が黄色く体側に2本の縦帯があることからそう呼ばれていました。幼魚は美しいのですが、成魚では茶褐色になってしまいます。
また幼魚は温和な性格ですが成魚は気性が激しいので他の魚との飼育は避けたほうが無難です。成魚は琉球列島以南に見られますが、幼魚は黒潮にのり、より北方からの記録もあります。
クロスズメダイ Neoglyphidodon melas
以前幼魚は「きんせんすずめだい」という別名で呼ばれていました。販売されているものは幼魚で、白い体に背中が黄色という美しい色彩で、「どこが黒?」と疑問に思われる方もおられるかもしれませんが、本種が美しい色彩なのは幼魚のうちだけで成魚は紺色になってしまいます。
それだけならまだよいのですが、やはり気性が激しく、小型水槽では他の魚とは飼育できないので注意が必要です。琉球列島からインド-西太平洋に広く見られます。安価なので手を出してしまいやすいのですが、注意しなければなりません。
バリダムゼル (クロスダムゼル) Neoglyphidodon crossi
バリダムゼルもヒレナガスズメダイ属の魚です。幼魚はオレンジ色の体にメタリックな青い線が入って美しいのですが、成長すると全身が黒っぽくなり、メタリックブルーの線は消失し、オレンジ色の色彩も胸鰭の基部にのこるだけとなってしまいます。
つまり、ほぼ真っ黒に。日本には生息しておらず、インドネシア周辺海域に見られる種です。
デビルダムゼル (ブルーストリークダムゼル) Neoglyphidodon oxyodon
デビルダムゼルは紺色の体に白い横帯と青白い線が入る美しいスズメダイです。しかしこれも幼魚のうちのみの特徴で、成魚では消滅します。しかも名前に「デビル」とあるように気性がはげしく小型水槽では他の魚との飼育は不可能です。日本にはおらず、フィリピンなど西太平洋から観賞魚として輸入されますが、きれいだからと、安易に手を出してはいけません。
ヒレナガスズメダイ属の魚はインドー西太平洋から9種類が知られており、幼魚がよく販売されていますが、成魚は地味な色彩で性格もきついので注意が必要です。