サカナをもっと好きになる

キーワードから探す

成魚と幼魚で色彩が異なるスズメダイ科魚類

この項では、成魚と幼魚で色彩が異なるスズメダイ科魚類を紹介します。

ヒレナガスズメダイ Neoglyphidodon nigroris

ヒレナガスズメダイの幼魚(旧フタオビスズメダイ)(提供:PhotoAC)

ヒレナガスズメダイはかつて「ばたびあすずめだい」と呼ばれたほか、幼魚はかつて「ふたおびすずめだい」という別名で呼ばれていたこともあります。幼魚は全身が黄色く体側に2本の縦帯があることからそう呼ばれていました。幼魚は美しいのですが、成魚では茶褐色になってしまいます。

奄美大島で釣れたヒレナガスズメダイ(撮影:椎名まさと)

また幼魚は温和な性格ですが成魚は気性が激しいので他の魚との飼育は避けたほうが無難です。成魚は琉球列島以南に見られますが、幼魚は黒潮にのり、より北方からの記録もあります。

クロスズメダイ Neoglyphidodon melas

クロスズメダイの幼魚(旧キンセンスズメダイ)(撮影:椎名まさと)

以前幼魚は「きんせんすずめだい」という別名で呼ばれていました。販売されているものは幼魚で、白い体に背中が黄色という美しい色彩で、「どこが黒?」と疑問に思われる方もおられるかもしれませんが、本種が美しい色彩なのは幼魚のうちだけで成魚は紺色になってしまいます。

沖縄県那覇で釣ったクロスズメダイの成魚(撮影:椎名まさと)

それだけならまだよいのですが、やはり気性が激しく、小型水槽では他の魚とは飼育できないので注意が必要です。琉球列島からインド-西太平洋に広く見られます。安価なので手を出してしまいやすいのですが、注意しなければなりません。

バリダムゼル (クロスダムゼル) Neoglyphidodon crossi

バリダムゼルの幼魚(撮影:椎名まさと)

バリダムゼルもヒレナガスズメダイ属の魚です。幼魚はオレンジ色の体にメタリックな青い線が入って美しいのですが、成長すると全身が黒っぽくなり、メタリックブルーの線は消失し、オレンジ色の色彩も胸鰭の基部にのこるだけとなってしまいます。

上記の写真よりすこし大きくなったもの。このあと褐色に……(撮影:椎名まさと)

つまり、ほぼ真っ黒に。日本には生息しておらず、インドネシア周辺海域に見られる種です。

デビルダムゼル (ブルーストリークダムゼル) Neoglyphidodon oxyodon

デビルダムゼルの子。サンゴには害を与えない(撮影:椎名まさと)

デビルダムゼルは紺色の体に白い横帯と青白い線が入る美しいスズメダイです。しかしこれも幼魚のうちのみの特徴で、成魚では消滅します。しかも名前に「デビル」とあるように気性がはげしく小型水槽では他の魚との飼育は不可能です。日本にはおらず、フィリピンなど西太平洋から観賞魚として輸入されますが、きれいだからと、安易に手を出してはいけません。
ヒレナガスズメダイ属の魚はインドー西太平洋から9種類が知られており、幼魚がよく販売されていますが、成魚は地味な色彩で性格もきついので注意が必要です。

1

2

3 4
  • この記事の執筆者
  • 執筆者の新着記事
椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

  1. 独特な顔をした深海魚<ニュウドウカジカ> 「醜い生物保存協会」のマスコットで話題に?

  2. 大西洋のサンゴがピンチ? 優雅なサカナ<ハナミノカサゴ>にも原因あり

  3. 謎多き魚「クサアジ」の食味とは この見た目でリュウグウノツカイの仲間?

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

関連記事

PAGE TOP

「お誕ジョーズ2024」開催!

サカナブックス2周年記念イベント&テーマはやっぱり「サメ」!
詳細を見る