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神秘さや不思議さに目を見はる感性「センス・オブ・ワンダー」 私たちが自然に感動する理由とは?

センス・オブ・ワンダー」という言葉を皆さんご存知でしょうか?

この言葉は筆者が今も昔も大切にしている言葉です。これは『沈黙の春』という本で環境汚染を世に訴えた海洋生物学者レイチェル・カーソンの最期の著作のタイトルでもあります。

今回は『センス・オブ・ワンダー』という書籍と、その著者で海洋生物学者であるレイチェル・カーソンの想いを通して、この言葉の意味やそれらと自然の関わりを紹介していきます。

海洋生物学者だったレイチェル・カーソン

レイチェル・カーソンは1907年5月27日生まれ、ペンシルヴァニア州スプリングデール出身の女性で、海洋生物学者・作家です。作家という夢を抱きながらも進路は生物学へと進み、やがて海洋生物学者になりました。

その後アメリカ連邦漁業局の公務員に就職し、そこで集めた資料をもとに書いた『われらをめぐる海』がベストセラーになりました。こうして海の作家としての才能が認められ、作家としての道も歩むことになります。

アメリカを動かした『沈黙の春』

カーソンは1962年に『沈黙の春』を出版します。

当時は十分に指摘されていなかった化学物質の危険性や、それらが引き起こす環境汚染などの悪影響を訴える先駆けとなった本で、アメリカ社会に大変な影響を与えました。

『沈黙の春』(撮影:みのり)

彼女は『沈黙の春』出版の2年後、1964年に世を去ります。没後、1965年にカーソン未完成の著作を彼女の友人たちが編集・整理して出版した本が、本記事で紹介する『センス・オブ・ワンダー』です。この本はまさにカーソンの最後のメッセージといえるでしょう。

センス・オブ・ワンダーとは?

この本の中で“センス・オブ・ワンダー”とは「神秘さや不思議さに目を見はる感性」とされています。ふわっとしていてピンと来ないかもしれません。

『センス・オブ・ワンダー』(撮影:みのり)

しかし、皆さん誰しも一度は感じたことがあるはずです。

幼少期、目に映るものすべてが新鮮に感じたことはありませんか? 生き物の行動を面白がったり、逆に恐怖を感じたことはありませんか? 今でもNHKやBBCの動物ドキュメンタリーを見て、その雄大さや命の躍動に息を呑むことはありませんか?

その瞬間こそ、まさにセンス・オブ・ワンダーなのだと思います。

アカカマスの大群と筆者(提供:みのり)

私がセンス・オブ・ワンダーを心から感じるのはやはり自然観察をしているときが多いです。

昔ダイビングをしていた時に巨大なアカカマスの大群に遭遇したことや、その大群めがけてカンパチが突撃して、狩りを始めた光景を見たときには心が震えました。

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みのり

みのり

センス・オブ・ワンダーを大切に

北里大学海洋生命科学部卒・元水族館飼育員。魚類・クラゲはもちろん、イルカの飼育も担当。非常に多趣味で、生き物観察やフィールドワークはもちろん、映画や読書、ゲームも好き。多趣味ゆえの独自の視点、飼育員視点を交えつつ、水生生物やそれを取り巻く自然環境、文化、水族館の魅力を発信していきます。

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