水産系の大学に通いながら、魚の分類体系に沿って1日1魚をテーマにX(旧Twitter)でイラストを投稿している絵師「ざんくるす」さん。ハイクオリティなイラストは研究者の方からも反応があることも。
お魚愛に溢れたざんくるすさんに、イラスト製作の秘訣やこだわりについて聞いてみました。
Xアカウント:https://x.com/zankurus?s=21&t=6MVwOmWER82pcUKTLISwRQ
魚愛に溢れた創作活動 海外から論文を購入することも
━━意欲的に活動されていますが、イラストを描く上で意識していることはありますか?
1番は出来る限りその種の特徴を捉えることを大切にしています。
例えばその魚の形、色、種による鰭の位置や鰭条(※1)の数、鱗の数の違いなど種を区別するための特徴を見極めて、その魚らしいイラストが描けるようにしています。
(※1)鰭の筋のこと。硬い棘と軟条がある。
僕は魚を描く前に魚のことを調べるのに時間を割いていて、例えば論文とか図書館で文献を調べたりしますね。
━━すごいですね! イラストを描く準備をするとのことですが、魚のことを調べるのにはどれくらいの時間がかかりますか?
自分の欲しい情報がなかなか見つからない時は1週間くらいかかります。最近だとアキアナゴというチンアナゴの仲間の絵を描く時は海外から論文を購入して取り寄せたので、論文を読むまでに3週間以上かかったことがありましたね。
デジタルの良さを活かしたイラスト製作
━━イラスト製作の秘訣について教えてください。
普段からアイビスペイントを使って作品を作っています。
最初、線画に色を塗る形で魚の絵を描いていたんですけど、自分の理想にならなくて。もっとリアルな絵を描きたくて、4年前くらいに新しい絵の書き方を模索し始めました。最初は画面に色を塗って、消しゴムツールを使って形を整えたりして絵を描きました。この手法で描いたヒラマサは思い出深い作品です。
そこからしばらくして変形ツールが実装されて、変形させた図形を組み合わせる形で絵を描くスタイルになりました。粘土をこねて形を整えたものを組み合わせるような感じで絵を描いています。
よく使うのが歪みペンという機能で、形を調整するのにすごく役に立っています。細かいところを消す時は消しゴムツールも便利です。
最近はグリッド線という画面に絵を描くときに参考になるマス目を表示する機能ができて、魚の頭から尾鰭の付け根までの長さなど魚の大きさの比率を計算しながらイラストを描いています。
魚との出会い 図鑑で見たツノダシ
━━色々な魚を描かれていますが、好きな魚は何ですか?
1番好きなのはXのアイコンにしているツノダシです! 魚が好きになったきっかけも図鑑で見たツノダシでした。今アイコンにしているツノダシは3代目で、今年の2月に描きました。ツノダシって意外とバランスを取るのが難しくて何回も描き直しています。
3代目のツノダシは先ほどお話ししたグリッド線の機能を使って描いたので、個人的には満足できる出来栄えになっています。
━━絵を描き始めたきっかけや創作のモチベーションはありますか?
ツノダシを図鑑で見てから魚が好きで、気付いたときには絵を描いていました。自分が魚を描いていて嬉しいのが、描いた魚が好きな人や、その魚の研究者の方に反応がもらえることなんです。
前にウミヘビを描いたときにウミヘビの研究者の方から反応が来て、アドバイスをいただいたり、絵の参考に貴重な写真を見せていただけたりしたことが嬉しかったです。
━━研究者の方からイラストのフィードバックがもらえるなんてなかなかない体験ですね!
最近描いたオオシロブチギンザメはついこの間記載された種なんですけど、描くときに参考にした論文の著者の方から反応をいただけて嬉しかったです。
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