水族館での展示において、欠かせないもののひとつに「魚名板」があります。水槽で展示している生体の写真と共に名前・分類・学名・生態などが書かれています。
展示されている生物のことをより深く知るための情報源であるのはもちろん、館によってはユーモラスかつ親しみやすく作られていることもあります。
一方で、魚名板にかかれていない生き物が水槽に混じっていることがあります。
水族館にはイルカやメンダコなど“花形生物”とも言える生物だけでなく、“水族館の脇役”とも言えるマイナーな生き物たちがいます。でも、かれらこそ“真の脇役”なのかもしれません。
水槽内で偶然発生した生き物
水族館では、水質を安定させたり野生の環境を再現するために、海から採取されたライブロックを使用することがあります。
ライブロックとは、死んだサンゴの骨格や岩にバクテリアや藻類・微少な生物が住み着いた岩のことです。このブロックに付着していた生物が、そのまま成長したり数を増やしたりすることがあります。
また、外の海からサンゴなどの底生生物を導入すると、それに付いていた生き物が数を増やすことがあります。
ガラスカイメンの一種
実際に、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)ではガラスカイメンを発見しました。
ガラスカイメン(撮影:俊甫犬/撮影場所:新江ノ島水族館)ガラスと同じ二酸化ケイ素で構成された骨格をもつカイメンの一種です。
カイメン類は水槽内で発生して成長することが多く、このカイメンも水槽内で成長したと考えます。
水族館で見られる寄生・共生生物
自然界では、生物が他の生物に頼って生きることがあります。
生物同士の関係性によって、片方に害のある“寄生”、お互いに利益をもたらす“相利共生”、片方にのみ利益がある“片利共生”があります。
水族館の中でもそれを観察することができます。
ベニウミトサカに付着するホヤの一種
幼魚水族館(静岡県駿東郡清水町)では、種類は不明ですが、ベニウミトサカというサンゴに共生していると見られる同じ色のホヤを見つけることができました。
よく見ると、2個体を確認することができました。
ホヤの一種(撮影:俊甫犬/撮影場所:幼魚水族館)知らず知らずのうちに生まれている展示生物の幼体
まれに、展示生物が知らず知らずのうちに卵や子どもを生むことがあり、それが水槽の隅にいたり漂っていたりしていることがあります。
展示生物の赤ちゃんは表立って表記することが多いですが、発見や対応が難しかったり、頻発的なものはあえて強張せずにそのまま展示されることがあります。
アマクサクラゲのポリプ
ポリプとはクラゲになる前の段階の姿。イソギンチャクのような姿で、種類によってはクローンを作って増殖し、水温や成長段階などの条件がそろえばクラゲを放出します。
アマクサクラゲ(撮影:俊甫犬)ある水槽で見つけたのがアマクサクラゲのポリプです。この種類のポリプは、長く微細な触手で動物プランクトンを捕食します。
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