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空き瓶を使った人工魚礁<ボトルユニット> たった3年でサンゴ礁再生につながった事例とは?

海洋ゴミの1つに「ガラス瓶」があります。

ゴミとして海に捨てられた瓶のなかに小さな魚やエビ、カニの仲間などが住み着いている水中写真を見たことがある人もいるかもしれません。

本来ならば問題となる海に捨てられたガラス瓶ですが、それを環境改善に使用している事例があります。

それが「ボトルユニット」という人工魚礁です。

空き瓶をリサイクルしたボトルユニット

タイでは、サンゴ礁の白化現象に加え、船の座礁や錨による損傷が相次ぎ、サンゴの群生地が壊される深刻な環境問題が起きています。

こうした状況を受け、海洋環境保全に取り組む非営利財団「Conservation Diver」は、2009年にタイ・タオ島の拠点でビール瓶を利用したサンゴ再生用の人工漁礁ボトルユニットを開発しました。

タイ・タオ島(提供:PhotoAC)

背景には、タオ島ならではの別の問題もありました。

島ではガラス瓶をリサイクルするには高額な費用がかかるため、多くの空き瓶がそのまま埋め立て処分され、限られた島の土地を圧迫していたのです。

ボトルユニットの作り方

ボトルユニットは、サンゴを再生させるための人工基盤です。作り方は大まかに次の通りです。

まず安価なプラスチック容器にコンクリートを流し込み、ラベルを剥がしたビール瓶を数本、外側へ斜めになるように差し込みます。空いた部分には石や持ち手用の鉄筋を入れ、そのまま固めます。

一晩ほど置いてコンクリートが固まったら容器から取り出し、ダイバーが海中の任意の場所へ設置。ビール瓶の口部分に、折れてしまったサンゴや定着が不安定なサンゴを移植します。

ボトルユニットの効果は?

こうして設置されたボトルユニットでは、わずか3年ほどで天然のサンゴ群生地と見間違えるほどにまで回復した例もあるそうです。

サンゴ礁再生の様子(写真提供:Conservation Diver)

これまでの人工魚礁は、巨大なコンクリートブロックなどを用いた大がかりなものが主でした。

しかし、本来ならば廃棄されるような安価な材料、そしてダイバーが1人で運べるほど軽量で、設置場所も自由に選択できるまさに一石二鳥、成果を考えれば“一石三鳥”とも言える結果を得ています。

水中だと片手で持てるほど軽量(写真提供:Conservation Diver)

デリケートなサンゴ育成が成功したワケ

もちろんサンゴという繊細かつ保全状況が危うい生物を相手に成果を出すのは容易ではなく、適切な知識と良好かつ整った環境などの条件は必要不可欠です。

ここまでサンゴが成長したのも、この海域がたまたまボトルユニットに適していたからです。

サンゴ育成には他にも、成長を促すための微弱な電流を流したロープにくくりつける方法や隔離水槽で育てる方法が有効でしたが、ここまで作り方が単純かつサステナビリティなものは前代未聞でした。

魚礁づくりの方法は様々 汚染につながる手段も

他にも魚礁を作る上で廃棄物を使った方法としては、廃船を沈めてそのまま魚礁にする取り組みが有名です。日本国内でも貝殻や下水処理で出た汚泥で作ったブロックなどを人工魚礁にして再利用するやり方がとられています。

しかし、タイヤを使った取り組みではその海域の汚染に繋がってしまい、物によってはかえって環境の悪化につながることもあるので注意が必要です。

ゴミを使った保全活動は注意が必要

「ゴミ」として扱われていたものの活用の幅がここまでの環境保全に広がることには、可能性を感じざるを得ません。

一方で、失敗例も多くあるため、やみくもにゴミを処分するような手段は逆効果になります。一見して簡単そうな手段でも、見よう見まねで取り組むのは控えましょう。

サンゴ再生用の人工漁礁ボトルユニットを開発したConservation Diverは他にも様々な取り組みを実施しており、公式サイトで公表しています。

(サカナトライター:俊甫犬)

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俊甫犬

採集活動をかれこれ8年間。幼いころは海の生き物は手が届きにくいものだと思ってましたが、岸壁採集を始めたことにより意外にも色々な生き物に出会えました。

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