日本各地から産出する様々な分類群の化石たち。
産出する化石は、当時の地球環境を反映しており、太古の日本がどのような環境だったのかを示しています。
島根大学、北九州市立自然史・歴史博物館などの研究グループは、共同調査で島根県出雲市からシシャモ属の化石を発見。既知のシシャモ属と骨格が異なることから新種記載されました。
この研究成果は「Paleontological Research」に掲載されています(論文タイトル:Mami Hamada, Yoshitaka Yabumoto, Naoya Arita, Toshiaki Irizuki, Akira Takao, 2026, A new Miocene smelt fish, Spirinchus izumoensis sp. nov. )。
太古の環境を示す化石
化石は当時の地球環境を示す重要な手掛かりです。
とくに魚類や貝類など水中に生息する動物群の化石は、太古の地球にける河川や海洋の水温や生物相などの環境を示しています。
千葉県から産出するビノスガイの化石もその1例です。
2024年「Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology」に掲載された論文では、東京大学をはじめとする研究グループが、千葉県の下総層群のビノスガイ化石を用いて海水温の季節変動を復元。
研究グループは、当時の東京湾が温暖期にもかかわらず、現在よりも水温が5度以上も低いことを明らかにしました。(High temporal resolution paleoclimate reconstruction by the analysis of growth patterns and stable isotopes of fossil shells of the long-lived bivalve Mercenaria stimpsoni from MIS 5e, 7 and 9.)
新種のシャシモ属化石
今回、シャシモ属の化石が発見されたのは、島根県出雲市稗原(ひえばら)町に分布する約1600万年前に形成された川合層です。
島根県出雲市(提供:PhotoAC)隣県の鳥取県では、これまでに約1700万年前の地層からシシャモ属(ミヤノシタシシャモ)の化石が発見されているものの、本化石とは臀びれ付近の骨格形状が異なることが判明。今回の論文で新種記載され、学名・和名はいずれとも発見された出雲市に因みイズモシシャモ(Spirinchus izumoensis)と命名されました。
また、シャシモ属の化石発見により、当時の出雲地方では汽水域環境が優勢であったと推測されています。現生するシシャモ属は冷たい海に生息していますが、当時の出雲地方にも広く生息していたことが示されたのです。
約1600万年前の地層から見つかった<イズモシシャモ>
今回の共同調査・研究によって島根県出雲市の約1600万年前の地層から、シシャモ属の化石が発見され、新種記載されました。新種のシシャモ属化石は発見地に因みイズモシシャモと命名されています。
また、この化石は当時の出雲地方の環境を示すものにもなりました。
(サカナト編集部)