飼料メーカーのフィード・ワン株式会社は10月20日、魚粉を使用しないウナギ用配合飼料「神威ZERO」を開発したと発表しました。
現在、養鰻生産者と連携してフィールド試験を進めており、実際の養殖環境で成長や飼料効率などを検証中。2026年内の発売予定で、魚粉価格の高騰や供給不安への対応と、養殖業の持続可能性向上を目指すといいます。
魚粉配合率70%から段階的に低減
養殖魚の生産量が世界的に増加するなか、水産用配合飼料の主要原料である魚粉は、原料となる魚の漁獲状況やエルニーニョ現象などの海洋環境の変化によって、価格の高騰や供給の不安定化が課題となっています。
特にウナギ用飼料では、栄養面に加え、水と練り合わせた際の成形性や物性を確保するためにも良質な魚粉が必要とされており、従来の飼料では魚粉の配合率が約70%に達していたといいます。
こうした状況を受け、フィード・ワンは魚粉への依存を減らす研究開発を継続してきました。
2016年には魚粉配合率60%の「鰻丸」を発売し、2023年には同40%の「エシカル」を製品化しました。今回開発した「神威ZERO」は、これまでの低魚粉化の取り組みをさらに進め、魚粉を一切使用しない飼料として実用化を目指すものです。
約3万8000尾の試験で摂餌と成長を確認
2026年8月から9月にかけて、九州の養鰻生産現場で実施されたフィールド試験では、約3万8000尾のウナギを対象に、無魚粉飼料である「神威ZERO」と魚粉配合率60%の「鰻丸」の飼育成績を約2カ月間にわたり比較しました。
無魚粉飼料の給餌風景(提供:フィード・ワン株式会社)試験の結果、無魚粉飼料を与えたものでは、飼料効率が62.0%となり、「鰻丸」の74.9%を下回りました。一方、成長倍率はいずれも約2倍となり、無魚粉飼料でもウナギが餌を食べ、成長することが確認されました。
1尾当たりの重量は、無魚粉飼料を与えたもので試験開始時53.8グラムから終了時106.4グラムに増加。また、「鰻丸」を与えたのものでは52.4グラムから109.9グラムに増加していました。
無魚粉飼料区では給餌量が3,184キログラムと、「鰻丸」の2,764キログラムを上回っていることから、飼料効率の改善が今後の課題だといいます。
また、同社の水産研究所で2026年8月から10月に実施した社内試験では、魚粉配合率40%の「エシカル」は従来飼料に比べて飼料効率がやや低かった一方、日間摂餌率は同等以上となったそうです。
飼料効率の改善と年内発売を目指す
今回のフィールド試験では、魚粉を使用しない飼料の実用化に向けた可能性が示された一方、飼料効率などの改善点も明らかになりました。フィード・ワンは今後、原料構成や配合設計、製造条件などを検証し、飼育成績の向上を進める方針です。
同社は引き続き養鰻生産者と連携してフィールド試験を重ねるとともに、既存の低魚粉飼料も活用しながら、生産現場の飼育環境に応じた段階的な魚粉使用量の削減を目指すとしています。
※2026年10月27日時点の情報です
(サカナト編集部)