四方を海に囲まれた日本では様々な海産物が漁獲されており、食用になるものも少なくありません。
中には変わった名前を持った海産物もありますが、バカガイと名付けられた二枚貝が存在します。
バカガイとは
バカガイはバカガイ科バカガイ属に分類される二枚貝。バカガイ科の二枚貝は本種の他にミルクイ、ウバガイなどの水産上重要な二枚貝が含まれます。
本種は北海道から九州の潮間帯下部~水深20メートルの砂泥底に生息し、大きさは殻長10センチ前後に成長します。
殻の形は至って普通で、色は黄褐色、殻の表面には放射状の縞があり、本州の個体は成貝になると消失しますが、バカガイ北方型(エゾバカガイ)は成貝になっても放射状の縞が残ります。
なぜバカガイ?
本種の特徴はなんといってもその名前でしょう。バカガイという名前は地方名と思いきや標準和名なのです。一見すると普通の貝なのに何故このような名前がついたのでしょうか?
バカガイの由来は諸説あり、馬鹿みたいにたくさん獲れたことから、斧足がだらりと出ている時があるから、殻を閉じた時に斧足を挟んでしまうことからなど様々な説が存在するようです。
また、バカガイは別名「青柳(アオヤギ)」とも呼ばれており、こちらのほうが通りのよい地域もあります。アオヤギの由来はかつて上総国市原郡(千葉県市原市)の青柳がバカガイの集積地であったことに由来するとか。
現代は東京湾や愛知県、北海道などが産地として知られており、主に桁網で漁獲されているようです。
食用としてのバカガイ
不名誉な名前を持つバカガイですが、古くから食用として利用されおり、現代に至るまで各地で食べられてきました。
特に江戸前寿司の小柱(バカガイの身の部分を舌切り、貝柱の部分を小柱と呼ぶ)は定番ネタとして知られており、軍艦で食されています。
また、バカガイの貝柱は2つあり、大きいほうを大星、小さいほうを小星とも呼ぶそうです。この他にもバカガイを干物にした姫貝が珍味として知られる他、アオヤギのさんが焼きは千葉県の郷土料理として継承されています。
バカガイは不名誉な名前が付けられた二枚貝ですが、古くから食用として愛されている貝なのでした。現在も広く流通している二枚貝なので見つけた際にはぜひ食べてみてはいかがでしょうか。
(サカナト編集部)