ミンサーフエフキを食する
沖縄県ではフエフキダイ科の魚はいずれの種も食用魚とされています。
しかし地方名で「たまん」とよばれるハマフエフキ、「くちなじ」「くちなぎ」とよばれるイソフエフキ、「やきー(たまん)」ことアマミフエフキやアマクチビ、「しるいゆ」ことシロダイなどといった種と異なり、どうしても「むるー」は小型であるため、市場価値は残念ながらあまり高くはないという惜しい魚たちです。
ですが、そんな「むるー」も新鮮なものは刺身で美味しく食べられます。上記写真はトップ写真の個体とはまた別のもので、鮮度が落ちてしまっており、アミフエフキ・ホオアカクチビと一緒に煮つけにしていただいたものですが、これらも美味しく食することができました。
沖縄・那覇では主に泊の「いゆまち」、まれに公設市場などに入ってきますが、お値段はほかのフエフキダイ科魚類と比べて安価です。しかし新鮮な個体の味はより市場価値が高いとされる種とくらべてさほど劣っているとも思えません。
カラフルな魚ばかりが目に付く沖縄の魚市場ですが、その中では地味ながらおいしいミンサーフエフキをはじめとした「むるー」たち。ぜひとも沖縄土産に購入してみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
書籍及びジャーナル
Allen, G.R., B.C. Victor and M.V. Erdmann, 2021. Lethrinus mitchelli a new species of emperor fish (Teleostei: Lethrinidae) from Milne Bay Province, Papua New Guinea. J. Ocean Sci. Found. 38:66-77.
具志堅宗弘.1972.原色 沖縄の魚.琉球水産協会.那覇.247pp.
中坊徹次編. 2013.日本産魚類検索 全種の同定 第三版.東海大学出版会.秦野.
下瀬 環.2021. 沖縄さかな図鑑.沖縄タイムス社,那覇.208pp.
高木基裕・平田智法・平田しおり・中田 親 編.2010.えひめ愛南お魚図鑑.創風社出版.松山.249pp.
ウェブ媒体
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