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高知県におけるテンジクダイ科魚類の移り変わり

筆者は2006年より高知県の西部で魚の採集や釣りなどを行ってきましたが、それを見ると2006年当時といまでは見られる魚の種がだいぶ変わってきているという感じがします。

テンジクダイの仲間では、この仲間の代表的な存在であるネンブツダイや、高知県であればどこでも大量に見られました。また、夜釣りに行けばはほぼ毎回その姿を拝むことができたクロホシイシモチは、筆者は2019年以降ほとんど見ることもなくなってしまいました。

そしてこのクロホシイシモチと入れかわるように多くなったように感じたのが、キンセンイシモチやミスジテンジクダイ、琉球列島などに多く見られる種であるテンジクダイ科魚類、カスリイシモチです。カスリイシモチは筆者も高知県で2009年、2021年と2023年にも釣っています。

クロホシイシモチはどこへ消えた?(撮影:椎名まさと)

理由としては海水温の上昇というのももちろんあるのでしょうが、魚そのものが強いかどうかというのもあるかもしれません。ネンブツダイやクロホシイシモチなどは温和でもろく、釣りで採集して持ち帰っても、うまく対処しないとすぐに弱ってしまいやすいように思いました。

一方、カスリイシモチなどはかなり強健な種のようで、水の汚れにもある程度は強く、ほかのテンジクダイの仲間と一緒に飼育するとほかのテンジクダイの仲間がおびえることもありましたし、最悪食べられてしまうこともありえそうです。

いずれの種ともに釣れたのは成魚であり、このあたりで定着していると思われるのですが、筆者はバンダイシモチも、カスリイシモチも、幼魚は一度も見たことがなく、この周辺で繁殖しているかどうかはわかりません。

四国の沿岸で繁殖しているのか、それとも、あまり遠くないどこかから稚魚が流れてきているのかはわかりませんが、それを解明するのであれば少なくとも秋とは別のシーズンに訪れてみる必要はありそうです。

変化していく魚類相

最近は気候変動により、海水温が高くなる傾向にあり、九州以北の海でも様々な熱帯・亜熱帯の海にすむ魚が見られるようになるなど、魚類相が変化していっているようです。

そんな海の変化を直接知ることができるのは、漁師と、釣り人、磯採集者たちです。変わった南方性の魚が釣れる、もしくは獲れたら、ぜひ写真、できれば標本を残しておくべきだと思います。

高知の海には今後も通い続けたい(撮影:椎名まさと)

しかしながら筆者も、何年も通った場所でバンダイシモチが釣れるとは驚きです。

はじめてのバンダイシモチにはもちろん、喜びが大きかったのですが、残念ながらもともといた種が減っていることもまた事実のようです。そんな海の変化を今後も観察していきたいと思います。

(サカナトライター:椎名まさと)

参考文献・参考URL

Fraser, T. H. 2008. Cardinalfishes of the genus Nectamia (Apogonidae, Perciformes) from the Indo-Pacific region with descriptions of four new species. Zootaxa 1691:1-52.

Kuiter, R.H. and T. Kozawa. 2019. Cardinal fishes of the world. Aquatic Photographics, S eaford, Victoria. and Anthias(Nexus), Okazaki, Aichi.

中坊徹次編. 2013.日本産魚類検索 全種の同定 第三版.東海大学出版会.秦野.

Nijssen, H. and I. J. H. Isbrücker. 1971. Two new species of the catfish genus Corydoras from Brazil and Peru (Pisces, Siluriformes, Callichthyidae). Beaufortia v. 18 (239): 183-189.

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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