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メスの特徴を持ったオスがいる? 性別による違いが魅力<キュウセン>の特徴

キュウセンは日本近海にすむ温帯性の魚です。なんとなく名前は聞いたことあるけど、どういう魚なのか詳しくは知らないという人もいるのではないでしょうか。

この記事では、そんなキュウセンの特徴について紹介していきます。

キュウセンってどんな魚?

キュウセンはスズキ目ベラ科に属する魚です。ベラの仲間は世界中に多数生息しており、小さなものでは10センチほどのホンソメワケベラ、大きなものだと2メートルを超えることもあるメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)まで、多種多様な魚たちが属しているグループでもあります。

キュウセンは成魚になると約20~30センチほどと、ベラ科のなかでも小柄な魚種です。

北海道以南の日本沿岸部や台湾、東シナ海に分布しています。関東ではあまり馴染みがありませんが、瀬戸内海では「ギザミ」という地方名で親しまれているそう。この地方名は「刻(ギザ)のある魚」という意味だそうです(ギザミ(キュウセン)-株式会社 岡山県水)。

磯や砂底で過ごしていることが多く、小さなカニやエビなどの甲殻類や二枚貝、海藻などを食べていることが多いようです。

キュウセンのオスとメスの違い

キュウセンが持つ最大の特徴は、オスとメスの体色の違いです。

キュウセン(メス)(提供:PhotoAC)

メスは赤みがかった白っぽい体色、体の中央と背中側に入った黒い縦帯と、体全体にのびる、ミシン目のような赤い縦帯があります。

これらの線を合計で「9本」とみたことから「キュウセン」の名になったといいます。

キュウセン(オス)(提供:PhotoAC)

一方オスは黄緑色の体色で、縦帯はわかりづらくなっています。これらの違いから、メスのキュウセンは「アカベラ」、雄のキュウセンは「アオベラ」とも呼ばれます。

また、ベラ科の仲間の特徴である「性転換をする」という特徴も持っています。キュウセンの性転換は雌性先熟といい、メスが成長すると雄へ性転換します。上記で説明したオスの特徴を持つキュウセンは、すべてメスが性転換したオスのことを指します。これを二次オスと呼びます。

一方、産まれながらにしてオスであるキュウセンも存在します。彼らはオスの特徴を持っておらず、姿かたちはメスと同じです。これを一次オスと呼びます。

見た目だけではオス・メスの区別ができないため、一次オスはイニシャルフェーズ(initial phase, IP)二次オスはターミナルフェーズ(terminal phase, TP)と区別されます。「イニシャル」は「初めの」という意味、「ターミナル」は「最後の」という意味を持っていますので、生まれつきかそうでないかで覚えるとわかりやすいのではないでしょうか。

この表記はキュウセンに限らず、性転換をする魚で使われる言葉です。水族館の種名板で確認できることもあるので、是非注意深く観察してみてください。

釣りでも親しまれるキュウセン

キュウセンは西日本を中心に釣りの対象としても親しまれていますが、東日本では外道(本命ではない魚)との扱いを受けることもあるようです。

小さな口と歯で器用に餌をちぎってしまうことから、フグと並んで「餌取り名人」とも呼ばれています。瀬戸内海では美味と評され、人気の高いキュウセン。是非狙ってみたいですね。

日本近海に生息しているベラ科の魚、キュウセン。釣り人や一部地域の人には馴染み深い魚でありながら、全国的な知名度はそこまで高くないのではないでしょうか。

水族館で展示されていることもありますし、先述のように釣りでも狙えます。その綺麗な体を直接観察してみてください。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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