最近、回転寿司などで「ブリヒラ」や「タマクエ」といった魚の名前を聞くようになりました。聴き馴染みのない魚ですが、一体どんな魚なのでしょうか?
この記事では、ふたつの魚種を掛け合わせたハイブリッド魚について紹介します。
ハイブリッド魚とは
ハイブリッド魚とは、ふたつの魚種を掛け合わせてうまれた魚のこと。近畿大学水産研究所や東京海洋大学、愛媛県宇和島市にあるイヨスイ株式会社をはじめとした大学・企業で研究が進んでいます。
掛け合わせ方は、ふたつの魚種の交配により異なる性質を受け継ぐ方法と、片方の魚種の生殖幹細胞をもう片方の魚種の代理の親に移植し、代理親となった魚種同士で繁殖をする方法があります。
魚体が大きい、繁殖が容易、味が良い……など、ふたつの魚種の良い特徴をいいとこ取りできるのが最大のメリット。また、天然の水産資源の枯渇や魚の生息域の変化も話題に上がるなか、持続可能な食料供給をするためにも注目されています。
近畿大学が開発したブリヒラ
近畿大学は、ブリとヒラマサを掛け合わせたハイブリッド魚「ブリヒラ」を開発。ブリヒラは、ブリのメスとヒラマサのオスの交配によってつくられた魚です。
ブリはうまみがある魚として多くの人に親しまれている大衆魚ですが、血合いの割合が多く、変色しやすいといった特徴があります。一方のヒラマサは血合いが少なく、身質がしっかりしており、「ブリヒラ」はこのようなお互いの特徴を掛け合わせ、より美味しくなったとされています。
独自に開発し、近畿大学の登録商標でもあるため、近畿大学産のブリヒラ種苗を用いて養殖したものだけがこの名前で流通しています。現在では全国展開している回転寿司チェーンでも扱われており、知名度があがってきた魚種と言えます。(ブリヒラーアーマリン近大)
また同大学では2023年1月、ニチレイフーズと共同でフルーツの餌を与えて育てる「フルーツ魚」の特徴を生かした「アセロラブリヒラ」も開発。アセロラの抗酸化機能による品質保持効果を期待して開発されたとのことです(近畿大学の養殖技術で生まれたハイブリッド種「ブリヒラ」にニチレイフーズのアセロラ餌の技術を用いた「アセロラブリヒラ」を開発-PR Times)。
愛媛県宇和島市のイヨスイが開発したタマクエ
愛媛県宇和島市にあるイヨスイ株式会社は、タマカイとクエのハイブリッド種である「タマクエ」の開発を行っています。
タマクエは、2メートルを超えることもあるベラ科の最大種であるタマカイと、味の良さで人気がある高級魚クエを掛け合わせたハイブリッド魚です。
「魚の王様」「幻の魚」と評されるクエですが、成長スピードが遅く養殖にはあまり向きません。しかし、タマカイは成長スピードがはやく、2年程度での出荷が可能。生産コストを抑えつつ、クエに遜色ないような良い食味を持ち合わせており、まさにふたつの魚種から「いいとこどり」した魚だとされています(市場未取り扱いの新魚種「タマクエ」開発社イヨスイが研究着手から10年、初のタッグを四十八漁場と!-PRTimes)。
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