白い花びらのような姿が美しいハナビラウオは、若魚のころにクラゲとともに行動することで知られています。
この記事では、ハナビラウオの特徴や生態、見た目がよく似たクラゲウオとの見分け方などについて解説します。
「ハナビラウオ」ってどんな魚?
ハナビラウオは、スズキ目イボダイ亜目に属する海水魚の一種です。成魚の全長は、通常30~40センチ程度。体色は白っぽく透き通っており、長いひれをもっています。
ハナビラウオという名前は、長く伸びたひれがまるで白い花びらのようにひらひらしてみえることに由来しているのだそう。
ハナビラウオは、世界中の温帯から熱帯・亜熱帯にかけて幅広く分布しています。成魚になると綺麗なヒレや透明な体は黒くシャープになり、体長45センチほどの存在感のある魚へと成長します。
ただ、ハナビラウオの成魚は200メートル以上の深度に生息することが多いため、観察できる機会は非常に少ないといわれています。
ハナビラウオとクラゲウオの見分け方は?
ハナビラウオは、同じく花びらのようなひれをもつ「クラゲウオ」と見た目がよく似ていることで知られています。
では、ハナビラウオとクラゲウオを見分ける方法はあるのでしょうか。
通常、魚のひれには、軟条(ナンジョウ)とよばれるやわらかいすじがあります。この軟条の数は、魚の種類によってそれぞれ異なります。
ハナビラウオとクラゲウオは、この軟条の数の違いで見分けることが可能です。ハナビラウオの軟条は、通常27~32本ほど。それに対し、クラゲウオの軟条の数は、通常20本前後です。
ハナビラウオとクラゲの関係性は?
ハナビラウオは、幼魚の時期はクラゲと行動をともにすることで知られています。
クラゲの傘の下に身を寄せたり、触手の中に入ったりしながらぴったりとくっついて泳ぐ姿はとても可愛らしいと評判です。ただ、実はこの関係性には秘密があるのだそう。
ハナビラウオの幼魚は、ともに行動するクラゲを隠れ場所や餌として利用しながら、自分の身を守っています。毒性のあるクラゲの触手に近くに身を潜めていれば、外敵に襲われる心配はありません。
さらには、お腹がすくと一緒に行動しているクラゲをむしゃむしゃ食べてしまうのだとか。一見、とても仲が良さそうにみえるのに、実は食う・食われるの関係なのが面白いですね。
ハナビラウオはなかなか観察することができない魚です。もし水族館などで出会う機会があれば、ぜひじっくりと観察してみてくださいね。
(サカナトライター:糸野旬)