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希少な海獣<マナティー>が見られる水族館はたったの4館 人魚伝説のモデルとしても有名?

世界各地の民間伝承に登場する「人魚」。

人魚伝説のモデルは、ジュゴンマナティーリュウグウノツカイなどではないかと考えられています。

中でも、人魚の目撃場所とマナティーの生息場所が一致することから、人魚伝説のモデルはマナティーである可能性が一番高いとも言われています。

そんなマナティーは日本ではあまり見られない存在ですが、実は会える場所があるのです。

マナティーはとってもレアな海獣

マナティーは、ゾウの遠い親戚にあたる生き物です。その証拠に、指先には蹄が退化した爪が生えています。

新屋島水族館のアメリカマナティー(撮影:額田善之)

マナティーは河川や湖、河口、沿岸などに生息しており、寿命は50~60年と長寿です。

基本的には草食性の哺乳動物で、アマモや水生植物などを食べます。暖かい水でしか生きられず、水温が20℃以下になると弱って死んでしまうこともあります。

マナティーの指先には爪がある(撮影:額田善之、撮影場所:新屋島水族館)

人魚伝説のモデルは<ジュゴン>説も

一方、ジュゴンもマナティーと分類が近いので、姿形が似ていることから、「人魚伝説のモデルはジュゴン」という説もあります。

ジュゴン(提供:photoAC)

どちらも哺乳類の中の海牛(カイギュウ)目に属しています。見た目が寝転んだ牛のようなので、「海の牛」とは言い得て妙でしょう。

全種が絶滅危急種 

環境汚染や水温変化などで住む場所が減り、乱獲の影響もあって個体数が激減したため、マナティーはかなり希少な生き物と言えます。

マナティーとジュゴンの違い(提供:額田善之)

マナティーは世界に3種類いますが、IUCNレッドリストデータでは、その全種が絶滅危急種であるVU(絶滅の危険が増大している種)に指定されるほど、絶滅の危機が迫っています。

なお、ジュゴンも同じくVUに指定されています。

マナティーが見られる日本の水族館は?

アマゾンマナティー(提供:photoAC)

日本の水族館などでは、3種類のマナティーがいずれも飼育されています。ただし、希少なため、全国でも4つの施設でしか展示されていません(2025年2月現在)。

アメリカマナティー(Trichechus manatus

アメリカマナティーはマナティー最大種で、体長約4メートル、体重1500キロになります。

頭骨の形態の違いから、アンティルマナティーとフロリダマナティーの2つの亜種に分けられますが、学術的には決着がついていません。大西洋地域の熱帯から亜熱帯の河川、湖沼、河口付近の沿岸に生息しています。

日本では、香川県高松市の新屋島水族館と、沖縄県国頭郡本部町の沖縄美ら海水族館でしか見られません。

アフリカマナティー(Trichechus senegalensis

アフリカマナティーは、セネガルからアンゴラにかけての西アフリカの河川、湖沼、河口付近の沿岸に生息しています。

水生植物以外にレタスやイネ、貝類なども食べる雑食性であることが特徴。大きさは体長3メートル、体重1000キロ程度です。

日本では、三重県鳥羽市の鳥羽水族館でしか見られません。なお、鳥羽水族館には日本で唯一、ジュゴンも展示されています。

アマゾンマナティー(Trichechus inunguis

アマゾンマナティーはアマゾン川水系などに住むマナティーで、淡水のみに生息する種。特徴は黒っぽい体色で、お腹に白い模様があることです。

体長は2.8メートル、体重は300~500キロとマナティー科の中では最小。水生植物などを食べます。

日本では、静岡県賀茂郡東伊豆町の熱川バナナワニ園だけで飼育されています。

希少なマナティーを見に行こう!

アマゾンマナティーのイラスト(提供:illustAC)

人魚のモデルともされるマナティー。

海獣が好きでもそうでなくても、愛嬌があるマナティーの姿には癒されること間違いなしです。

前述の通り、日本では、新屋島水族館、沖縄美ら海水族館、鳥羽水族館、熱川バナナワニ園で見ることができます。

なお、新屋島水族館には2頭のアメリカマナティーが展示されていますが、同館はリニューアルオープンのため、2025年4月7日から約2年の休館に入る予定です。

ぜひ、休館前に訪れてみてはいかがでしょうか? ちなみに新屋島水族館は、土日祝日限定で世直し侍のショーも堪能できますよ。

(サカナトライター:額田善之)

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額田善之

額田善之

人生を楽しもう!

愛媛大学理学部生物学科卒の生粋の生き物大好きライターです。特に魚が好きで、子どもと水族館巡りや釣りを楽しんでいます。オートバイで旅をして産地の珍しい魚を食べるのも趣味です。旅行や納豆の記事をよく書きますが、今回から水生生物についても執筆していきますので、よろしくお願いいたします。

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