たこ焼き・煮付け・韓国料理など幅広く使われているイイダコは、我々にとってある程度なじみ深い種類のタコです。
そんな彼らの生きものとしての側面を覗いてみましょう。
イイダコとは
イイダコ (octopus ocellatus) は 八腕型目マダコ科に分類され、日本国内だと北海道南部以南の浅海域の砂泥底に分布。貝殻などを住処にして、3~4月におよそ42~262粒産卵します。
食性は肉食で、小型の多毛類・甲殻類・貝類を捕食。目の下に金色に光るリングがあり、それをより大きな目に見せることで捕食者を威嚇し、身を守っていると考えられています。
イイダコ(提供:PhotoAC)名前の由来は、卵を抱えたメスを加熱すると胴体部分に米が詰まっているように見えることで、「飯(いい)→イイダコ」となったと言われています。
非常によく似た近縁種にヨツメダコ(Ocutopus areolatus) という種類がいますが、イイダコとは異なり、眼状紋が青く光ることが特徴です。
白い物に飛びつく習性
そんなイイダコには、貝に似た白いものに飛びつく習性があり、それを利用した「テンヤ釣り」で漁獲されることがあります。
板に白いらっきょうをくくり付け、その下にあるおおきな2対のフックで刺して釣り上げるものです。
高校時代の同級生から聞いた話では、なんと消しゴムでも飛びついてくるといいます。
実際の大きさとギャップがある理由
食用としてスーパーで売られているイイダコは、およそ4センチほどの大きさです。
バーベキュー用に売られていたイイダコ(提供:俊甫犬)ですが、実際の大きさは20センチほどで、それなりの大きさ。水族館で展示されているイイダコを見ると、その大きさに驚くかも知れません。
タコの身は加熱すると縮むため、実際の大きさが分からなくなることも多いです。
また、実際に食材として使用されているイイダコの多くは輸入品であることも多く、東南アジア産のコツブイイダコ(octopus membranaceus)という別の種類であることがほとんどです。
幼少の頃のイイダコとのおもいで
幼少期、ちょうど筆者が幼稚園年長から小学校1年の時のあたりでしょうか。
スーパーマーケットでイイダコのボイルを見つけて母に買ってもらいました。当時は図鑑でしか見たことのなかったイイダコなので、もの珍しさがあったのです。
イイダコののボイル(提供:俊甫犬)その後、見ていくうちになんだか愛おしくなり、一匹だけとっておいてもらうことに。眺めたり一緒に寝たりと、たとえ“ゆでだこ”でも好きなものがそばに居ると、心地良さのようなものを感じました。
しかし、何日か過ごすうちに事件がおこります。
当然“生もの”なので長持ちはせず、乾燥してしまい、ついには腕がぽろぽろととれてしまいました。だんだん原型を留めなくなるうちに愛着も薄れ、やっぱり食べ物だったんだなと腑に落ちました。
食品としての姿と生体のギャップを知る
イイダコをはじめ、食品としての姿と実際に生きている姿のギャップがある水産物は数多く存在します。
水族館やフィールドで普段食べている魚や生き物を見つけたら、思いもよらぬ感情があふれてくるでしょう。
彼らのおいしさだけでなく、生物種としての魅力そして生き様までも”味わって”はいかがでしょうか。
(サカナトライター:俊甫犬)