フサカサゴ科の魚は、温帯から亜熱帯海域に広く分布するスズキ目(ないしカサゴ目)・カサゴ亜目の魚のいちグループです。
美しいミノカサゴの仲間や、岩に化けるオニカサゴの仲間などは、ダイビングや水族館でもおなじみの魚といえます。これらのカサゴの仲間は、家庭の水槽でも飼育できるのでしょうか。
答えは「できなくはないけど、意外と難しい」です。
では、どこが難しいのか。そして、どうすればうまく飼えるのかを考えてみましょう。
カサゴの仲間たち
カサゴの仲間は、スズキ目(ないしはカサゴ目)のカサゴ亜目に含まれる魚のグループです。
その中でもミノカサゴやオニカサゴなどが含まれるフサカサゴ科や、ツマジロオコゼなどの含まれるオニオコゼ科の魚がよく飼育されますが、ひとくちに「カサゴの仲間」と言っても、いろいろな種がいます。
カサゴの仲間のいろいろ(提供:椎名まさと)たとえば、ハオコゼの仲間のあるものは、淡水や汽水域にまで入り、メバル科のあるものは高緯度地域や深海にすむため、冷たい水を好むなど、生息環境も種によって大きく変わってきます。
ここではサンゴ礁の浅瀬に生息するような種を中心に扱います。
アクアリストに人気のカサゴの仲間
ミノカサゴの仲間は非常に大きな背鰭や胸鰭をもち、とても優雅で美しいのでダイバーに人気があります。
また、水族館においても、マツカサウオやタツノオトシゴなどと一緒によく飼育されてきた魚で、もちろんアクアリストにとっても人気。近年はミノカサゴの類のほかにも、様々なカサゴの仲間が流通しており、観賞魚店ではよく見られるものとなりました。
水族館で飼育されているミノカサゴ(提供:PhotoAC)しかしながら、これらの魚の飼育は容易なものとはいえません。古くから飼育されてきたミノカサゴでさえ、意外と難しいところがあるのです。
実際に飼育したはいいものの……
今から20年前の2006年8月、筆者は高知県でかわいいサイズのミノカサゴの仲間、キリンミノを採集しました。
2006年採集したキリンミノ(提供:椎名まさと)こんなきれいで格好いい魚、採集できたら持って帰らずにはいられません。ということで、キリンミノをお持ち帰りしました。
しかし、そのキリンミノはひと月後には死んでしまい、それ以降もこの仲間の飼育には何度かチャレンジしているものの、なかなか長期飼育に成功したことはありません。
カサゴの仲間の多くはなかなか餌付かない
長期飼育が難しい要因は様々あります。まず、カサゴの仲間の多くの種はなかなか餌を食べてくれません。
たとえば種標準和名カサゴ(メバル科)などは、比較的早いうちにアジの切り身や、冷凍の小エビなどを食べてくれるのですが、ミノカサゴやサツマカサゴなどに代表されるフサカサゴ科の魚や、ツマジロオコゼ、オニオコゼなどのオニオコゼ科の魚はそうすんなりと餌付くようなことはないのです。
そのため、筆者はよく近辺の海や、河口付近でエビやハゼのような餌になる小動物を採集して与えていました。
以前飼育していたカサゴ。魚の切り身やオキアミを食べてくれた(提供:椎名まさと)近年は通販やアクアリウムショップでも生きたエビや小魚を販売していますが、それなりの出費は覚悟しなければなりません。うまくすれば冷凍餌や配合飼料にもなれますが、それまでが大変なのです。
そしてショップで「配合飼料に餌付いている」ものを購入し、家に持ち帰っても、アクアリストの家でショップと同じように食べてくれるとは限りません。
また、キンギョやモツゴなどの淡水魚を餌にするのもおすすめしません。淡水魚の仲間は骨が硬いものも多いからです。
エビや小魚を食べてしまう
なかなか人工餌や切り身に餌付いてくれないのに食欲旺盛なのがカサゴの仲間です。
動くものに反応するのか、生きている生き物からでる匂いなどがカサゴの仲間を引き付けるのか、とにかくエビや小魚が大好き。いつもは岩陰でじっとしているタイプのカサゴの仲間も、餌のハゼやエビをみると突然、俊敏なハンターに変貌するのです。
エビを水槽に入れると食べられてしまう(提供:椎名まさと)しかし、これは逆に言うと、一緒に飼育しているエビの仲間や小魚を食べてしまうおそれがある、ということでもあります。そのため、ほかの魚との混泳には自然に制限ができてしまいます。
またチョウチョウウオなどの魚は、カサゴの仲間の自慢の鰭をつつかれることもあり、そのような魚との混泳にも向いていません。基本的には単独飼育、または同じようなカサゴの仲間同士での飼育ということになります。